きねまないと

最近映画が好きになった20代が素人目線で好き勝手に映画の感想を綴るブログ。

『リメンバー・ミー』はとんでもないものを盗んでいきました。あなたの涙です。

 

 

 

本日の映画

 

今日はディズニー・ピクサー最新作リメンバー・ミーについてお話ししていきます。

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source:WIN signed movie posters from Disney Pixar's Coco! - Eason Edition

 

 

あらすじ

ミゲルギターが大好きな、どこにでもいるような少年であった。彼は音楽を愛し、いつか自分も音楽家になるのを夢にしていた。しかし、彼のひいおばあちゃんのお父さん、つまりミゲルのひいひいおじいちゃんが家族を捨て、音楽の道を目指したことから彼の一族は音楽を禁止してきたのだった。

そんなある日、彼はそのひいひいおじいちゃんが彼の憧れのギタリスト・エルネスト・デラクルスのギターを持っている写真を発見する。「僕のひいひいおじいちゃんはデラクルスだったんだ!」とミゲルは確信する。先祖の写真を飾っておくと、先祖が一年に一度帰ってくるという言い伝えの日である「死者の日」に、街では「死者の日コンテスト」が行われることを知ったミゲルは、ラクルスはいつだってチャンスをつかんできたのだからと自らを震い立たせ、コンテストに参加することを決意するが、街に向かう前におばあちゃんに見つかってしまう。ミゲルが今まで隠れて音楽をしていたことに激怒したおばあちゃんはミゲルのギターを壊してしまうのだった。

ミゲルは泣きながら家を飛び出し、街へ向かうが、ギターがなければコンテストには出られないため、ギターを探し始める。そこで、彼はラクルスの墓に飾ってあるデラクルスのギターを使用しようと考える。祭壇に忍び込んで、デラクルスのギターに触ることに成功したミゲルだったが、すぐに窃盗がばれてしまう。「ごめんなさい!」と謝ったミゲルだったが、なぜか誰もミゲルの姿が見えていないようだった。慌てて外に飛び出すと、そこには歩いて喋るガイコツたちがいて…?

 

詳しくはこちらをご覧ください。


映画「リメンバー・ミー」日本版予告

 

感想

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source:Box Office: ‘Coco’ Topping ‘Justice League’ With $70 Million – Variety

 ディズニー・ピクサー最新作『リメンバー・ミー』観てきました!まぁ予告からわかる通り、ピクサーお得意の大人をガン泣きさせてやるぜ映画だったんですが、まんまと泣かされてしまいました…!ピクサーだいすきおばさんなので仕方がないです。

それでも私は、家族ってこの世で一番大事だよね!みたいな作品はあんまり得意ではないんですが、そんな私でも「うわ~~~すき~~~」となってしまった作品だったので、ぜひ劇場でご覧いただきたいです!では以下私の個人的な感想の詳細です!

 

①死者の世界…だけど怖くない!…と思ったらやっぱり怖い…

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source:Pixar’s ‘Coco’—Drop in and meet the ancestors | New York Amsterdam News: The new Black view

 死後の世界って聞くと薄暗くて、なんというか、地獄…?みたいな世界を私は描きがちなんですけれど、リメンバー・ミー』が描く死後の世界はとってもキラキラしていて、とっても素敵でした。なんだろう、摩天楼という言葉がこんなにも似合う景色があるんだろうか、と思わせるような輝き方で、ちょっと死んでみたい!と思ってしまうような世界です(笑) 死んだ人たちがどんちゃん騒ぎしていて、死者の日は死後の世界でもお祭り騒ぎなのだなというのがよくわかる描かれ方をしていて、まさに理想郷のような面が最初に見せられます。

しかし、それだけで終わらないのがピクサーの偉いところというか、尊敬するところと言うか。ミゲルは途中でヘクターという薄汚れてナヨナヨしているガイコツに出会うのですが、彼が住んでいる場所というのは、死後の世界の影のような場所でした。実は、死者の日には実際に死者たちは生きている人々の世界に帰ることができるのですが、その条件は「生きていたときの写真が飾ってあること」というもので、飾られていない人々は帰ることができないのです。ヘクタ―も帰ることができない一人で、さらに生きている人に忘れられてしまうと死者の世界からも消えてしまうのですが、ヘクタ―とともに過ごしている人々は今にも消えてしまいそうなガイコツたちなのです。

誰にも覚えてもらえない、存在していることができない、といういきなり出てくる恐怖ですよね…。私なんか彼氏どころか兄弟もいない一人っ子なので、死んでしまったらあっという間に消えてしまいそうです。二度目の死が訪れるなんて恐ろしいですよね…。っていうかそれ芸能人めっちゃ有利じゃんずるくない…?

 

②原題と邦題のトリック

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source:【最新作】ピクサー映画『リメンバー・ミー』あらすじ・ネタバレ・声優!2018/3/16公開

今作の邦題『リメンバー・ミー』は劇中歌「リメンバー・ミー」のタイトルからとられています。私は結構この邦題を気に入っていて、「私を忘れないで」というメッセージが意味するところを鑑賞後に思い返すと涙が止まらなくなってしまいます。

では『リメンバー・ミー』の原題は何かというと「Coco」です。

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source:Coco: How Disney and Pixar Got it Right | Her Campus

ココって?と思うと思うんですが、これは劇中に出てくるとあるキャラクターの名前です。このタイトルは鑑賞後に思い出すとこの映画の本当の主人公は誰なのか、そしてどれだけこのキャラクターが愛し、愛されていたのかということを思うと途端に涙が…。

この作品のすごいところはこんな風にタイトルまで含めてストーリーになっているというか、このストーリーを踏まえてタイトルにもどるとこのタイトルに受ける印象が全く異なってくるというある種トリックともいえるような魅力ですね。ぜひ劇場でご覧になって、このトリックを体感してくださいませ。

 

③劇中歌「リメンバー・ミー」に注目してほしい!

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source:New Coco-Inspired Exhibit 'Remember Me!' Open Now at Mexico Pavilion, Epcot - WDW News Today

 第90回アカデミー賞であの『グレイテスト・ショーマン』の「THIS IS ME」をやぶってオリジナル楽曲賞を受賞したのがこの「リメンバー・ミー」なんです!

 

ちなみに「THIS IS ME」もとっても素敵な曲なのでぜひ聴いてみてくださいね!

 


The Greatest Showman | "This Is Me" with Keala Settle | 20th Century FOX

さて、そんな「リメンバー・ミー」やっぱりアカデミー賞を受賞するだけあるんですよ!!!やっぱりね!!!楽曲のすばらしさはもちろんなんですが、歌詞が…!歌詞が本当に素晴らしいんです。

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歌詞はこちらからもご確認いただけます。↓

genius.com

この曲の歌詞のやばいところは、「みんなのために書いた曲ではない」とキャラクターがはっきり言っているように、この世界のたった一人に向けて書かれた曲であるということです。

「たとえ離れ離れでも、心の中であなたを抱きしめる。この秘密の歌をあなただけに歌おう、私たちが離れ離れの夜でも。私を忘れないでね。」(※ネタバレになってしまうので、一人称や言い回し等は変えています。)

<「リメンバー・ミー」の元の歌詞を引用者和訳したもの。>

こんな風にダイレクトに歌っている人の気持ちが込められていて、なぜこんなにも直接的なのか、そして誰に向けて書かれた曲なのか、そして誰が書いた曲なのか、このすべてがわかったとき、この歌詞がもつ威力というのはすごくて、もうこれを聴いて泣かないでいるのは無理でした。朝イチで1人で観に行ったんですが、普通にボロボロ泣いて朝11時くらいに観に行ったんですけど化粧が全部落ちました。「リメンバー・ミー」ほんと半端ない。

さて、そんな「リメンバー・ミー」の日本語版主題歌がこちら

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歌っているのは、その歌唱力とドラムの腕前で有名なシシド・カフカさん!

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source:今、私たちがシシド・カフカに憧れる理由 | GINGERweb[ジンジャーウェブ]

才能があるだけじゃなくてこんなに美しいってマジか!神様超不公平だな…!と思ったわけですが、本当にシシド・カフカさんはめちゃくちゃすごいです!

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こんなに細いのに、めちゃくちゃにダイナミックでめっちゃ力強い歌声で、なんというか、全力で「生」を表現するみたいな演奏と歌唱ですごくかっこいいんですよね!

そんなシシド・カフカさんと「リメンバー・ミー」でコラボしたのがあの!東京スカパラダイスオーケストラさん!

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source:東京スカパラダイスオーケストラ、9カ月におよぶ全国ツアーのスケジュール一挙発表 - 音楽ナタリー

 東京スカパラダイスオーケストラさんはもう有名すぎてなんの説明もいらないかなとか思うんですが、一応補足させていただきますと、さかなクンさんや高橋一生さんと氷結のCMでコラボなどしているアーティストさんですね。

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そんな超有名な東京スカパラダイスオーケストラさんとシシド・カフカさんがコラボしたのが「リメンバー・ミー」なんですが、このディズニーの本気さがすごいですよね!ビシバシ伝わってきます。今作は音楽というのが主題の一つにもなっている作品なので、いくら日本版オリジナル主題歌といえども半端なものは許されなかったのだな…とわかります。そんな最強タッグで贈られるエンディングの「リメンバー・ミー」さすがに沁みます。最高です。

 

④吹替えキャストがすばらしい!

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source:ピクサー新作『リメンバー・ミー』吹替声優に藤木直人、松雪泰子ら 歌唱も - 映画・映像ニュース : CINRA.NET

 私は今作をまだ吹替えでしか鑑賞できていないのですが、今作は吹替えキャストが素晴らしかったので、吹き替えで観て本当によかったと心の底から思いました。

ヘクタ―役の藤木直人さん。普段から確かにいい声だなぁとは思っていたんですが、こうして声優としてのお仕事をやってみても確かなイケボでした。それでいて、俳優さんでも声の演技は難しいということが多いのに、藤木さんはなんの違和感を残すことなく見事にヘクタ―を演じきっていました。特に私が好きだったのは、ヘクタ―が弱弱しいシーンでした。基本的にヘクタ―っていうのは決していい男ではないので、いつもどうしようもないことをしていたり、また彼は自らに「二度目の死」が迫っていることから時折気弱になってしまうのですが、そのシーンの演技が繊細で本当に素晴らしい!普段の藤木さんの演技からは想像ができないくらい、いい男じゃない!!!(ほめてます)

そしてもう一人、この方がすごい!ミゲルの先祖であるイメルダ役を務めた松雪泰子さんです。松雪さんに至っては、私はエンドロールを見るまで松雪さんが出演していたのに気づかなかったほどでした。すごい!この経験は、『ブレイブストーリー』のウエンツ瑛士さん、そして『カーズ クロスロード』の松岡茉優さんに次いで3人目の経験でしたので、久々に驚かされました。松雪さん、昨年12月の『鋼の錬金術師』にご出演の際も原作とアニメをすべて網羅してから役作りに挑んだとのことでしたので、今作でも並々ならぬ役作りの上でのあの演技だったのだろうと思うと松雪さん、ほんとに…ほんとに素晴らしい女優さんだなぁと改めて思わされます。

 

slhukss1.hatenablog.com

 

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source:ディズニー/ピクサー最新作『リメンバー・ミー』日本語吹替え版声優の石橋陽彩くんが藤木直人さんと生演奏を披露 | ママスタセレクト

 ちなみに主人公・ミゲルを演じたのは、その高い歌唱力が大絶賛されている石橋陽彩(ひいろ)さん。ちょうど収録の際は変声期だったそうで、歌声を高く保つのが大変だったそうです。にしても、やはり歌唱力でこの大役をつかむだけありまして、彼の唄声には本当に魅了されてしまいました。さらに、声優初挑戦ながら、石橋さんの演技力はただならぬものでして、最後のクライマックスシーンなんて、ミゲルがあんまりにも切なく泣くものですからこちらもつられて泣いてしまうのですよ。歌がうまい人は表現力が普通に豊かなのだなと…。ぜひこれから先も声優としてのお仕事もまたやっていただきたいです。

 

そんな石橋さんと松雪さんのインタビュー記事が大変かわいらしかったので、お時間あるときに読んでみてください。

news.walkerplus.com

 

まとめ

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source:PRIMERA EDICIÓN : Coco, una historia de amor transgeneracional

 そんなわけで、今回は『リメンバー・ミー』についてお話しさせていただきました。きっと観た後は少し家族に優しくしようと思える、そんな作品でした。

ちなみにTwitterかどこかのはてなブログで「『リメンバー・ミー』、途中で展開は読めてしまうんだけど、ピクサーが力技で泣かせて来るからずるい」みたいな感想を読んで、めっちゃわかる!!と思ってしまいました。確かに、ストーリーとしてはそんなに大どんでん返しもなく、大人だったら結構中盤くらいで展開が読めてしまうのですが、そこがピクサーの腕の見せ所と言いますか、もう演出だとか画の綺麗さだとか、表現方法だとかで完全に「こんなん泣くなって言う方が鬼!!!」となってしまうのですよね…。すごい、ピクサー、ホントに尊敬する…。

久々に映画でちょっとほっこりしたい、とかあんまり殺人とかそういう刑事ものとかスパイものとかもうおなかいっぱいだな~という方にとってもお勧めです。そして家族みんなで今一番観に行っていただきたい作品でもあります。ぜひ、劇場でご覧ください。