きねまないと

最近映画が好きになった20代が素人目線で好き勝手に映画の感想を綴るブログ。

『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』が成し遂げた偉業について熱く語らせてくれ。

 

 

 

 

はじめに


12月15日に公開になった『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』について、率直に思ったことをズバズバ書いていきます。※今回ネタバレあります!

→2017/12/17 14:05に追記しました!今作を観たときに感じた「うそでしょ~…」について書いていいんだ!と気づいたので、ちょっと苦言を。

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source:Star Wars The Last Jedi review: The Empire Strikes Back has new rival | Metro News

 

 

あらすじ


今回のあらすじは結構ネタバレ気味です。ネタバレを踏みたくない方は飛ばしてください。
ちなみに予告はこちら。


「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」本予告


反乱軍としてファーストオーダーに抗う道を選んだレイは、反乱軍の将軍であるレイア・オーガナの遣いとして、伝説のジェダイルーク・スカイウォーカーを訪ね、彼に反乱軍の一員として共に戦うことを要請した。もちろんイエスの答えがもらえると思っていたレイであったが、ルークは当然のことのようにその依頼を断った。「あなたを連れていけるまで私、ここを離れませんから」レイはなんとしてでもルークの力を反乱軍に加えるため、そして己の目的を果たすためにルークとともに孤島に残ることとなった。
一方、カイロ・レンと対峙した後、昏睡状態に陥っていたフィンが目を覚ました。しかし、フィンは自分が眠っていた間にレイが一人で旅立ったことを知り、彼女の身を案じ始める。そんな中、フィンやレイア、そして戦闘員であるポーとその相棒BB-8を始めとする反乱軍400人を乗せた艦隊がファーストオーダーの艦隊に総攻撃を受け始めてしまう。「このままでは燃料が尽きてこちら側が負けてしまう」絶体絶命の危機に陥ってしまった反乱軍。状況を打破するべく、ポーとフィン、そしてひょんなことから加わった整備士のローズの三人は新総督の命令を無視して単独行動に出ることにするのだが…。

 

 


感想

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source'Star Wars: The Last Jedi' Review: Episode VIII Sets A New High Mark | Digital Trends

昨年公開の『スター・ウォーズ』シリーズのスピンオフ作品、『ローグ・ワン』が個人的に今までの『スター・ウォーズ』シリーズの中で最も面白い作品だ!と感じたので、今回はそんな『ローグ・ワン』を超えてこれるのかどうかちょっとひやひやしながら公開日を待ってました。
しかしそんな不安は無用でした。『最後のジェダイ』はトリロジー作品の第2作目を飾る作品として、最もふさわしいものだったといえると個人的には思っています。こんなに素晴らしい第2作目はクリストファー・ノーラン監督のバットマン・トリロジーの『ダークナイト』やサム・ライミ監督の『スパイダーマン』シリーズの二作目以来かもしれません。そのくらい個人的にはこの『最後のジェダイ』という作品は衝撃的でした。二作目はだれるというけど、全くだれずにうまく起承転結の「転」を描いた作品だと言えるでしょう。

そんな今作について、私がめちゃくちゃいい!すごい!と思った点を挙げてべた褒めしていきます。ちなみにストーリーについては「あんまり」触れませんが(※個人の見解です)、部分部分でネタバレを平気でしているので、まだ鑑賞していらっしゃらない方は自己責任でお願いいたします!


①人種の多様性

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source:Star Wars Episode 8 – The Last Jedi: trailer, release date, posters


『フォースの覚醒』から始まったこのエピソード7,8,9の新三部作は、主人公がレイという女性であること、そして副主人公的役割として描かれるフィンが黒人であることから、現代のハリウッド映画にみられる人種の多様化、そしてジェンダーの公平性をモロに受けたものになっています。『フォースの覚醒』からさらにさらにそれが出たものが今作であると言えるでしょう。
まずは新しく今作で登場したローズです。彼女はまさにモロに人種の多様性のために入れられたキャラクターだと考えて間違いないでしょう。もちろんローズを演じたケリー・マリー・トランさんは素晴らしい女優さんですし、起用されたのは彼女の表現力が高いからに間違いないですが!『ローグ・ワン』でもアジア系俳優としてドニ―・イェン氏とジャン・ウェン氏が起用されていました。

個人的には『ローグ・ワン』での推しキャラクターはチルアートですし、ローズに関しても結構好きなキャラだったのでアジア人起用うれしいです。あと『スター・ウォーズ』自体が広い宇宙の話を描いているので、もっとたくさん様々な人種の方が出てくるとうれしいです。
さらに個人的に今作が思い切ったな!と思ったのは、フィンとローズの関係を恋愛というところに落とし込むところでした。というのは、これまでの映画の中の世界では黒人は黒人と結婚し、アジア人はアジア人で、ということが主流の描き方でした。しかし、現実の世界では他人種同士で結婚されているカップルも多く存在するので、たまに映画を観ては「あー、また同じ人種で付き合うのか―」なんて思っていました。しかし、『スター・ウォーズ』という世界的に人気を誇る作品で今回、黒人とアジア人という他人種カップルの形が描かれたことはかなり映画界に爪痕を残したのではないかと個人的に大興奮でして!
もちろん『ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります』などで白人と黒人の夫婦が描かれるなど、これまでも他人種カップルが描かれている作品はあるんですが、こんな超大作で、さらにサブキャラクターではなく、主要キャラの恋愛の形としてこれが描かれたことが本当にすごいことだと思っていて!『最後のジェダイ』は静かに大きな一歩を確実に残しました。間違いない。


②女性キャラの更なる躍進

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source:The Last Jedi Cast @ D23 - JEDIBUSINESS.COM


先ほども述べたように、『フォースの覚醒』から続く三部作はレイを主人公とする物語となっているため、『スター・ウォーズ』シリーズとしては初の女性主人公でした。『ローグ・ワン』もジン・アーソというフェリシティ・ジョーンズ演じる女性が主人公として描かれ、スター・ウォーズジェンダーバランスは徐々に公平になりつつあります。
そんな流れの中で公開された今作はもう完全にジェンダーバランスが公平になったと言ってもいいほど女性が活躍する作品になっていました!レイが主人公である上に、レイを始めとする女性が「女性だから」という理由で差別されることが一切ないということが今作の強み。女性をただ単にたくさん映すだけでなく、将軍も女性であれば総督も女性であり、さらにはパイロットも女性であれば、戦闘員も女性(しかもアジア人!)そして極めつけに敵の戦闘員のキャプテンも女性!というなんという女祭りの今作!最高かよ!(もっと言うと、今まで男性ばかりだったファーストオーダーのハックスの直属の部下にも女性が…!)
さらに男性のキャラクターがレディー・ファーストをすることもありません。本当にただただ人間として平等に女性が扱われる世界、それがこの『最後のジェダイ』の舞台なのです。ファーストオーダーも敵ながらあっぱれです。人の人権は踏みにじるくせに女性差別はしないというなんつう世界だ、すげぇな。


③マスター・ヨーダの演出

 

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source:Yoda in The Last Jedi: Did Frank Oz Confirm Episode 8 Rumor?


今作ではルークがレイと接する中で迷いが生じ、悩むことになりますが、そこに現れるのが師であり、まさに伝説のジェダイであるマスター・ヨーダです。そんなマスター・ヨーダの描き方がなかなか個人的には胸アツでしたね!
というのは、エピソード1~3のようにCG技術を使ってなめらかなマスター・ヨーダの姿を描くことなんてたやっすいのに、今作がエピソード6の続きであるからなのか、あえてエピソード4~6と同じようなクオリティでヨーダを描いているのです。てっきりぬるぬる動くヨーダが出てくると思っていたので、「あれ?!なんかカクカク動くぞ?!」とちょっと度肝抜かれました。製作陣のこだわりがものすごく伝わってくるシーンでした。いやぁ熱い。
後は個人的にはそんなヨーダがルークをまだまだ青いなって扱うところもよかったですね。世の中では伝説なんて言われているルークも、ヨーダからすれば全くまだまだ若いなぁって感じで、あの時と大きく変わったようで、根っこの部分と言うか変わらず粗削りなところがあるのだなぁと感じてちょっとうれしかったです。


④カイロ・レンとレイの葛藤に対する期待と予想

 

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source:https://hdqwalls.com/wallpaper/2560x1440/kylo-ren-rey-luke-skywalker-in-star-wars-the-last-jedi

※この内容はあまりにもひどいネタバレなのですべて反転させます。


もうここが今作で大きく観客を裏切ってきたところなのではないのかなと思うわけですね。
私は前の2つの三部作シリーズから考えて、やっぱり主人公であるレイがダークサイドに堕ちる、堕ちないの話をやるのかな~なんて思っていたんですが、いやぁ女は強いよね!堕ちたと思ったら、なんとダークサイドを利用しようとしてただけだったなんてね!すごいよね!というわけで、なんとレイちゃん全くダークサイドに堕ちる気なし。すごい。強い。マジか。ここでまぁ第一の裏切りだったわけです。予想の裏切りです。いやぁやられた。そうかそうか。今までの三部作とは全く違う感じにしてくるのだなとようやくここで思い知らされるわけです。しかしよくできてるなぁ、あの予告。
そして次にレイが触れるカイロ・レンの心の葛藤ですね。マスターであるルークに裏切られたことで(実際には事実ではないのですが)ダークサイドに堕ち、スノークに心を操られてしまったカイロ・レン。ここまではまさにベーダーのような半生なわけですが、ベーダ―とは異なり、彼は自らの手で父であるハン・ソロを殺してしまいました。これがカイロ・レンの中で眠るベン・ソロという良心が彼の心の中でダークサイドに堕ちた自分と葛藤し始めます。その心の葛藤をスノークに「弱さ」だと言われてしまい、さらに自分がわからなくなり混乱に陥っていきます。
そんななかでカイロ・レンはレイとフォースを通じて交流していくことになったのですが、レイは彼の中にあるベンの心をきっとよみがえらせることができると確信します。そう、観客である私も期待したわけ!起承転結の「転」である今作でカイロ・レンがベン・ソロとして帰ってくるのやばい!熱い!すげぇ!ってすごい期待したわけです。
が、実際はスノークを殺した後、そこに私とレイが期待したベンの姿はもうすでになく、彼は完全に自らの意思でカイロ・レンという「化け物」として生きていくことに決めてしまっていたわけですね…。oh...。絶対この流れは善の心が目覚めると思ったんやけど…、まさかの…完堕ち…。oh...。と私の期待はバッキバキに崩れ去ったわけです…。
が、裏を返せば、全く予想ができない展開が何度も何度も待ち受けている今作!最後まで手に汗握る、そしてクライマックスまで息を止めてしまいそうになるほど、息をのむ臨場感たっぷりのストーリー!すごい、すごすぎるぞ『最後のジェダイ』!!!!


まとめ

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source:What Do New Character Bios Mean For THE LAST JEDI? | Nerdist


というわけで、今作は個人的にはすごくいい作品で、『スター・ウォーズ』のこのお祭りに参加できてほんと、よっしゃラッキー!!!!(©キュウレンジャー)って感じです。最高。銀河レベル級に超Luckystar。ありがとう。ありがとう…。
一方で、これまでジョージ・ルーカスが撮りたいと思っていた『スター・ウォーズ』とは全くとは言いませんが、大きく違う作品になりつつあるのかな、というふうにも思っていて、それはそれでやっぱり元々はルーカスが撮っていた作品なので、その持ち味を活かしつつ現代に合った作品にこれからもなっていくといいなぁなんてちょっと思ってしまいました。
でも私は今回のこの変化はものすごくいい変化だと思うので、この良い変化を継続して続けていってほしい!どんどん素晴らしい作品にしていってくれ!

 

 

…あと先日卒論を無事提出できました~!!!!応援してくださった方ありがとうございました~!!!!!!

あとは内定先の課題(鬼ほどある)をこなして口頭試問を受けるだけです…受ける…だけです……。がんばり…ます…。

 

追記(と言う名の苦言)

 

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source:Star Wars: The Last Jedi (2017) - Rotten Tomatoes

 Rotten  tomatoes(2017/12/17 13:48アクセス)、荒れてますね~…!

ただわかる!だって今作は『フォースの覚醒』以上に今までのスター・ウォーズとは全く異なる上に、まぁ確かに「…あれ反乱軍ほんと…うん…」って感じでしたよね…。わかるよ…。

ライムスター宇多丸さんが今作についてラジオで苦言を呈しつつ評しているので今作について「あれ…?」ってなった方はこちらを聴いてみてください。私も「わかる~~~」とか言いながら聴いていたので。(笑)

www.tbsradio.jp

ちなみに私は上ですげ~~~!!!よかったよ『最後のジェダイ』!って言ってるんですけど、まぁ~…本稿を最後まで読んだ方わかると思うんですけど、ストーリーのほんの一部分しかほめていないんですよ…実はね…。気づいてました…?

ただ私はやっぱりカイロ・レンとレイの下りが結構すきだったので、第二作目としてはかなり良かったと思うんですよね…!!!!(というかそこ以外はダメなんだけど!)(あとカテゴリー、☆4選んでたと思ったら☆5選んじゃってた!ごめんなさい!☆4です!!!!!)カイロ・レンとレイの下りはほんとによかったと思うんだよなぁ…。よかったよね…。ただルーク、ルークのことは許さんぞ…。

 

そんなわけで評価が真っ二つの『スター・ウォーズ:最後のジェダイ』ですが、私個人としてはアメリカ映画史に大きな爪痕を刻んだ作品だと思うので、お勧めです!

 

再追記(ライムスター宇多丸氏のとりあげたマーク・ハミルの発言について)

今朝radikoのアプリのタイムフリー機能を使って上記した「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」を聴いていたのですが、その中でルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルの発言が取り上げられていたので、ソースが気になって調べました。

 

www.independent.co.uk

"The Last Jedi: Mark Hamill 'fundamentally disagrees with virtually everything' written for his character"(訳:『最後のジェダイマーク・ハミルは彼の役(ルーク・スカイウォーカー)について書かれたほぼすべてのことについて基本的に否定している)

 

こちらが実際マーク・ハミルがインタビューに答えている映像です。

 

www.youtube.com

 

宇多丸さんはこのマーク・ハミルの発言を取り上げて、そりゃそうだよ!と言う風にマーク・ハミルの発言をネガティブなものとして受け止めて肯定していたように感じられました。

個人的にはその後のマーク・ハミルの発言も併せてみてみると、「思ってたルークとは違ったけどまぁいいんじゃない」くらいに思ってるみたいな。たとえ悪いけど「自分の解釈はあるけど地雷があんまりない腐女子」みたいなスタンスでいるのかなって…。(たとえがゲロみたいに良くないことで定評のある私)

 

ただ宇多丸さんがラジオの中で続けて言ってた「(脚本には全然納得いってないけど)ベストパフォーマンスを魅せるよ」っていうハミルの発言のソースは見つけられませんでした。どこにそんな話あったんだろう…。どなたかご存知でしたら教えてください。

→それっぽいものを見つけたので追記いたします。

www.vanityfair.com

おそらくこのページに書かれているこの部分。

Likewise, after reading Rian Johnson’s script for The Last Jedi, Hamill said, “I at one point had to say to Rian, ‘I pretty much fundamentally disagree with every choice you’ve made for this character. Now, having said that, I have gotten it off my chest, and my job now is to take what you’ve created and do my best to realize your vision.’ ”

(同様に、ライアン・ジョンソンの『最後のジェダイ』の台本を読んだ後、 ハミルは「ライアンに言わなければならなかったことは『僕はあなたがこのキャラクターのために取ったすべての決断に対して基本的には反対だ。今、これを言っておくことで僕は気が楽になる。あと今僕がやるべきことはあなたが作り上げたものを引き継いであなたのヴィジョンを実現させるためにベストをつくすことだ』」と語った。)

マーク・ハミルは結構いろんなところでこの話をしているようなので、この考えを持っていることをファンに知ってほしかったのかもしれないですね。

自分は今回のルーク・スカイウォーカーについては否定的な意見を持っているけれど、それでもファンが待っていてくれるというのなら全力で演じるだけだ、みたいな。

 

余談ですが、これと似たような話が「仮面ライダー剣」にもあったな、なんてありました。詳しくはディケイドに登場した剣崎やゴライダーに登場した剣崎について調べてみてください。