本日の映画
今回は、マッツ・ミケルセン主演『アナザー・ラウンド』についてお話ししていきます。
Source: ‘Another Round’ Review: They’ll Drink to That - The New York Times
あらすじ
うだつの上がらない歴史教師マーティンは、ある日自身の生徒たちから授業内容がわかりづらいことに対して抗議を受ける。さらに、家庭でも妻と思うようにコミュニケーションが取れていなかった。全くうまく行かない自分の生活について、思わず飲みの場で涙を流してしまう。
その後、家に帰ったマーティンはその飲みの場で同僚が血中アルコールをある一定のレベルに保つと仕事の効率が上がるという理論を紹介していたことを思い出す。わらにもすがる思いでマーティンはアルコールを摂取し、授業に向かう。
その後、同僚たちにもこの理論について実践することを持ちかけ、4人は学校に内緒でアルコールを持ち込み、実験を始めるのだが……。
詳しくはこちらを御覧ください。
ヴィランのマッツ・ミケルセンしか知らないあなたにこそ観てほしい!
やっぱりマッツ・ミケルセンといえば近年でももう屈指の超イケてるヴィラン専門俳優と言っても過言ではないほどヴィランの役がハマりまくっている俳優さんではないでしょうか。
言わずとしれたドラマ『ハンニバル』シリーズのハンニバル・レクター役(最高)、『ドクター・ストレンジ』、『007 カジノ・ロワイヤル』などなど。そして更には今後『ファンタスティック・ビースト』シリーズにも出演ということで輝かしいほど絶好調ヴィラン人生です。
(私のお気に入りはやっぱりハンニバルですかね……。ハンニバルでマッツのことを知ったので……。)
なので、マッツをやはりヴィラン役でしか楽しんでいない、むしろヴィラン以外にこの人できるんか…?と思っている人も多いのではないでしょうか。
そんなあなたにこそ私はこの映画を強く、強く、強く!推したい!!!!!!
なぜならこの映画、名付けるなら「監督のよくばりマッツ・ミケルセンフルコース映画」だからです。
まずマッツ・ミケルセン捕まえてうだつの上がらない歴史教師をやらせている時点でもう変態すよこの監督。最高。ありがとう、この監督佐藤健捕まえて冴えないサラリーマン役やらせたりする系の監督だと思う。
いや私も映画始まってすぐは「こんなかっこよくて足が5kmある人がうだつの上がらない教師役できるか?!?!」と思っていたんですけど、すごいよね、マッツちゃんと全然パッとしない教師にちゃんと見えるもんね……。すごいね……。それでもかっこいいんだからよくわかんないよね……。
そんで結構開幕早々あらすじにも書いたんですけど、マッツが泣くのよ!!!!
source:'Another Round' - first trailer for Thomas Vinterberg's Cannes 2020 title (exclusive) - YouTube
あの!!!!マッツ・ミケルセンが、泣くのよ!!!!!!!しかも結構あの出すつもりもなかったのに自分の情けなさに耐えきれずに涙がどんどん溢れ出てきちゃうみたいな感じで泣くわけ!!!
あんな臓物でバンジージャンプとかキマらせてたハンニバルとかやってた人にはみえないくらいグスグス泣いててもうこっちの母性本能超くすぐってくるわけですわ!!!!
しかもその後優しい同僚たちが一生懸命励ましてくれて、ちょっと元気を取り戻すところとかもう可愛すぎて家で観てたら絶対ここで一時停止して「いや………………………………マッツ・ミケルセン過多……………なんだが………」って深呼吸をしてたと思うけど劇場だからそんな暇も与えてくれません。
source: Is Another Round the Best Movie of All Time? | Reading at Recess
そしてやってくるのが緊張マッツ!!!!!!学校に無断で酒を持ってきてトイレでこそこそお酒を飲むマッツ!!!ひえ~~~~緊張のマッツ!!!レアか~~~?!?!もうこの時点で見たことないマッツが多すぎてマッツ・ミケルセンのInstagramをフォローしよって決めること間違いなしなんですね。
この後にやってくるのがそう、
ウキウキ酔っぱらいマッツなんですね~~。ちょっと『悪の教典』のハスミンを思い出すのは多分今までのフィルモグラフィーのせい*1。でもここのマッツがめちゃかわでもう観てる間「フフフ」って声が出ちゃうのは仕方ないんですね。うん。だって可愛いし……。
その後もエンドレスマッツ・ミケルセンで(主演なので当たり前ですが)、奥さんと久々に話せて嬉しいマッツや激しいセックスをするマッツ(これセクシーすぎて劇場で赤面してしまった)や酔っ払いまくって大学生のように羽目を外すマッツ、酔っ払いすぎて「SHIBUYA MELTDOWN」みたいになるマッツ*2!寂しくなるマッツ!焦るマッツ!キレまくるマッツ!などなどとにかく本当にマッツ・ミケルセンのフルコースをあなたに……なんです。
私が一番スキだったマッツは「待ってくれ、行かないでくれ」って静かに、でも切実に相手に頼むマッツでした。なぜ哀愁を漂わせるダンディーなおっさんはこうもセクシーなのか。
source: "Another Round": Film Review by Ho Lin - Camera Roll
バカバカしいけど、妙に切ない
source: Another Round Blu-ray (Druk)
これまでマッツについてばかりのべてしまいましたが、お話もやっぱり数々の賞に選ばれるだけあってとっても良かったです!
デンマークでもみんなこんなこと思いながら生きてるんか~~~ってめちゃくちゃ共感超えてシンクロしながら冒頭とかしんどい気持ちになってました。
人生なんにもうまく行かないときって本当にボロッって音が出たんじゃないかってくらい涙出るし、そんなときに支えてくれる友人は一生大切にしたいもんですね。
そしてそんなときはやっぱり人間どっか壊れてますから、この主人公みたいに居間を打開できるならなんでもやる!ってなっちゃうんだよな。。
この話多分日本のサラリーマンでやったらめちゃくちゃ面白いと思います。舞台がデンマークだし、主演マッツだしでめっちゃおしゃれなコメディ・ドラマ映画に見えますが、日本でやるならぜひ主演は前野朋哉さんでお願いしたいな……
*3。めちゃくちゃ面白くなると思う……。伊藤淳史とか森山未來とか柳楽優弥とかを同僚役に推薦するわ……。
そんで飲み始めるようになると一気にコメディ色が増して、マッツや同僚たちがるんるんになっていくと同時に観ているこちら側もどんどん楽しい気分になっていきます。
しかしデンマークでもそうなんかいって思ったのが、やっぱり人間4人も集まれば一人くらい調子乗ってる人がいて、そして怪しい雲行きになっていくわけですが、この下降していくのが結構つらくて……。
40歳超えておねしょしてしまって妻に怒られたり、職場でやらかしてしまったり、感情がコントロールできなくなってしまったり……。
そうしてみんな今の自分の中にある問題、そして本当に大切だったことは何だったのかということに向き合っていき、クライマックスへと向かうんですが、その列記したやらかしがもう顔を覆いたくなってしまうようなリアルさっていうか、おとなになってからやらかすと実際やらかした内容の3倍くらい落ち込むよな……って痛いほどわかってしまってお腹いたくなりました。
でもその分クライマックスはすっきりさわやか晴れやかエンドなのでホントよかったです。ずーーーーんとは終わらないので後味すっきり映画!ライムを入れた炭酸水を飲んだようなすっきり感が味わえます。
超個人的なお気に入りポイント
source: Prime Video: Another Round
個人的に衣装がめちゃくちゃ好きでした!普段のマッツはくたびれた服を着てるんですけど、うまくいってるときはすこし明るい色だったり。
あとマッツはやっぱりスーツが超似合うわけで、そしてしっかりスーツがね、出てくるわけですわ……。せんきゅー監督、せんきゅースタイリスト……!
それからSNSのやり取りの見せ方がうまいというか、この映画にめちゃくちゃ合ってて、というのもやっぱり最近の映画だと(特にティーンムービーとか)だと画面に実際ふきだしみたいなのが出てきてSNSでやりとりしてる感じを表現することが多いと思うんですが、この映画はそれとは違って、画面全体が黒い背景になって、白い文字でメッセージが無音で映し出されるんですよね。そこでもまたこの主人公たちの年齢とか、映画そのもののテイスト、そしてこの表現によって生まれる無音による間とかがほんと絶妙で「う、うわ、好き……」ってなっちゃいました。
まとめ
source: It's official: Mads Mikkelsen will replace Johnny Depp in Fantastic Beasts 3 | GamesRadar+
本日は『アナザー・ラウンド』についてお話しました。
ほとんどマッツがどれだけかっこよかったのかみたいな話になってしまいましたが、映画そのものももちろんめちゃくちゃおもしろかったのでおすすめです。
ちなみに英題は『Another Round』で邦題と同じですが、原題は『DRUK』だそうなので
、「飲酒」とか「よっぱらい」みたいな意味だと思っています。(すみません、デンマーク語には明るくないので今ぱぱっとGoogle翻訳見てみました。)
にしてもマッツはハリウッド映画で忙しすぎるのかと思っていたので、デンマーク映画にも出るんだ!と今作で感動……。ハリウッド映画だとやっぱりヴィランの役が今後も多いのかなと思うので、こうやってデンマーク映画で新しいマッツの一面が見られると嬉しいですよね~。忙しいだろうけど、今後もマッツのデンマーク映画出演に期待です。
あともうこれは完全にこすられすぎてる話なので言及しなかったんですけど、やっぱりあの予告で映画ヲタクは数万回、数億回見たであろうあのダンスシーン、劇場で観たら良すぎました。スーツで酒飲みながら踊り狂うマッツ・ミケルセン絶対需要ある!!って気付けるこの監督何者?今後もマッツといっぱいお仕事してくれ……。