本日の映画
今回は世界的大ヒット作『パシフィック・リム』の続編『パシフィック・リム アップライジング』についてお話ししていきます。
あらすじ
KAIJU(怪獣)と人類の存亡をかけた戦争を繰り広げ、死闘の末人類の平和を手に入れてから10年が経った。KAIJUとの戦争で殉死したKAIJU討伐専用人型兵器・イェーガーのパイロットだった父親を持つジェイクは、父親とは違う生活を送ることを目標にチンピラのような生活を送っていた。
そんなある日、次作イェーガーを作る変人たちに高額でイェーガーの動力源を売りつけようと立ち入り禁止区域であるイェーガー工場の跡地に窃盗目的で足を踏み入れた。しかし、すでに何者かにより動力源は奪い去られており、ジェイクは人影を見つけ、その後をついていくとその正体が幼い少女であることを知る。彼らは政府に追跡され、絶体絶命のピンチに陥るがその少女が次作した小型イェーガー・スクラッパーを用いてその場を逃げ去ることに。しかし、政府の公式イェーガーの前では歯が立たず、彼らは結局逮捕されてしまう。
ジェイクと少女・アマーラは特例措置として、イェーガーの基地へと送られることとなった。ジェイクは刑に服す代わりにイェーガーパイロット訓練生たちの教官として、そしてアマーラは訓練生として働くこととなったのだ。
一方で評議会は中国企業・シャオ産業が製造する無人イェーガーの導入を検討し始めており、近い将来イェーガーパイロットはいらない未来がくるかもしれないと言われるようになっていた。
そんなある日、未確認イェーガーが突如街を襲いはじめ、ジェイクはかつてのパイロット訓練生の同期であるネイトとイェーガーに乗り込み、街を救おうと尽力するのだが…。
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感想
最初に言ってしまうんですが、『パシフィック・リム アップライジング』(以下『パシリム2』)は個人的には面白くなかったです。なんというか、「それくらいの続編だったら私だって考えられるわ」と言ってしまってもよいくらい、予想を超えてこないというか…。なんというか、「原作レイプの同人誌」とまで言ってしまうとひどすぎるのですが、一番近い表現はそれかもな…と思ってしまうくらいには残念な出来でした。何せギレルモ・デル・トロ監督が撮った前作があまりにも良すぎたので、『パシリム2』はやっぱりそのハードルを越えてこれなかったなぁ…という印象です。
ちなみにロッテン・トマトの評価もズタボロです。(※2018年4月15日0時19分現在)これは致し方ないかな、と思います。あの出来では…。では、以下詳しく述べていきます。
①真剣佑がめざましくんになってた
source:Pacific Rim: Uprising (2018)
これ日本の映画業界本当にえげつないことするな~って思うことなんですが、今作は本当にひどかったです。何のことかと言うと、「日本の映画業界、日本人がハリウッド映画に出るとき、持ち上げすぎ」問題ですね。最近ではローラさんが『バイオハザード』に出演されたときも言われてましたかね。
こんなnaverのまとめまで作られてしまうなんて…。しかし今作は本当にひどかったです。日本用の予告ではこれでもかというくらい真剣佑さんにフォーカスが当てられ、、、まではまぁ百歩譲っていつものことなのでよいのですが、この記事がひどかった!
本を舞台にメカとKAIJUたちの一大バトルを描くほか、リョウイチ役の新田真剣佑にホレ込み、出演シーンを増やすなど、今作では自身の日本愛を大いに炸裂させた。
(上掲記事より抜粋)
…いや、あれで出演シーンを増やしたとか言われたらたまったもんじゃないですよ!ここまで煽って煽って、まさか真剣佑がめざましくんみたいな役割をやってることになってるとは夢にも思わないじゃないですか!!…ちなみにみなさん「めざましくん」ってご存知でしょうか。フジテレビ系で長年放送されている「めざましテレビ」という朝のニュース番組で「6時55分!」とか時刻を教えてくれる番組マスコットなんですけれども。
source:フジテレビオフィシャルオンラインショッピングサイト フジテレビe!ショップ
※参考画像
真剣佑がめざましくんになってたってどういうことやねんとお思いかもしれませんが、申し訳ないんですが言葉の通りなんです。真剣佑の役割は「アラーム」とか「号令」とかとにかく「お知らせ係」なのです。それ以上でもそれ以下でもなく、彼の役割は終わっていくのです。監督が真剣佑が動けることを絶賛とか言ってましたが私には彼はイェーガーに乗り込む号令係以外の何者でもなかったよ…!
もちろん日本の映画業界がこういうことをするのは、ただでさえ洋画に興味がない日本人に向けてどう興味をもってもらうかという言うならば餌みたいなものだと理解はしているのですが、ここまでやる必要あるかなぁ!真剣佑が一生懸命映画の告知をすれば…よかったのではないのか…!それだけじゃダメだったのか…!こんな詐欺まがいのことをしなくてはならないほどなのか…!!!!
②アジア人は1人までとでも決まっているのかな
前作ではギレルモ監督が大の日本の特撮(というか怪獣…?)好きであることから、菊地凛子さん演じる森マコがわざわざ日本語をしゃべるシーンがある上に、もう一人の主役ともいえるキャストとして据えられており、同じ日本人として「日本人でもハリウッド映画の主役を張れるのか!」とすごく元気づけられたというか、夢をもらったのですが、今回の森マコはイェーガーパイロットとしてイェーガーに乗り込むわけでもなく、司令のような位置にいます。というか、映画的には主人公であるジェイクがイェーガーに乗るための動機付けをするためのキャラクターに「降格」させられていたように私には見えました…。つらい…。そして日本語を一ミリも話すことはなかったですね…。中国基地にいる設定なのでそれは別にいいのですが。
ただ、そんな森マコを隅に追いやって出てきたのがシャオ産業の社長であるリーウェンというキャラクター。女優さんも綺麗で、女社長というのは個人的に好きなキャラクターであるので別にこのキャラクターに不満は特にないのですが、森マコを隅に追いやる必要とは?!と思ってしまいました。本当にこの作品では森マコはジェイクにとっての動機付けでしかなく、そんな森マコの代わりのアジア人としてリーウェンが出てきたように映ってしまい、私にとっては非常に悲しいことでした。もっと森マコというキャラクターは魅力的に動かせたはずです。なぜあんな…あんな…。個人的にリーウェンは好きなので、彼女と森マコの絡みが見れたらよかったのにと思います。アジア人女性は1人でいいだろ、ってことなんですかね?…曲解だと信じたいですが。
③端々が雑すぎるだろ!
source:Pacific Rim Uprising :: Movies :: Reviews :: pacific rim :: Paste
この映画、結構いろんな場所がツッコミどころです。あなたは何回ツッコミを入れてしまった?カウントしてTwitterで競い合おう!と私が宣伝担当だったらキャンペーンを打ってしまうかもなぁと思う程度には端々が雑。
たとえばなんですが、ジェイクは父親の影響でイェーガーパイロットの訓練生としてかつては政府に所属していたのですが、それは10年以上前であることが劇中のセリフから読み取ることができます。ただ、そんなジェイクは10年ぶりであるにもかかわらず結構普通にイェーガーに乗ることができてしまうんです。もちろん「おっとっと」みたいな感じでよろめくシーンがすこーしだけ入れられていたりもするんですが、それ以降は「いや、全盛期か」と言ってしまいたくなるほど見事なイェーガーさばき。お見事です。
とか言ってる場合か!というかそんなにイェーガーパイロットが足りていないわけはなぜだ!?!10年ぶりに乗るやつが採用されてしまうほど足りていないなんてよっぽどじゃないか…!それだったらせっかく訓練しているパイロットの中から一番優秀な人をパイロットとして採用しようと思いません?うーん。さすがフォースがないのにライトセーバーを操る男だ…。すごいぜボイエガ…。ボイエガにかかれば10年なんてギャップあらよっとって感じで勘を取り戻せる期間なんだね…。すごいね…。
他にも、イェーガーがジプシー一台しかない!どうする!ってなった際にアマーラが直せると思う!って言ってから少し経ったら4台イェーガー用意できてたりとか、東京の民間人が逃げまどっていて多分何人か逃げられなかったんだな…みたいな描写を見せてから「民間人は逃げ切ったから存分に戦え!」みたいなセリフがくるんですよ。おかしくねぇ…?
あとはクライマックスシーンのスクラッパーが引っかかってしまうシーンが顕著だったと思うんですが、この後の展開のための伏線と言うのも憚られるような要素がひどすぎると思うのです。あまりにも展開のための展開すぎるというか、そんな露骨にやられたらこちらだって勘づくっていうものだ、と正直あれはがっかりでしたね…。
ただ、推進剤の「理論上は使用可能だ」「理論上?それは使えるって意味だよな?」「…今日に限ってはそうだ!」と返すシーン、最高でしたね。わざとこの文は字幕と変えてあるので、興味がある方は英語のセリフと字幕をお楽しみくださいませ。
④大どんでん返しはこない
source:Pacific Rim Uprising Japanese Trailer Highlights Fresh Faces
この映画で一番残念だったのは、大どんでん返しがないことですかね…!!!!起承転結の転がそっくりそのままなくなって、起承承結みたいなね!何度か大どんでん返しを期待するシーンがあるのですが、全くもって覆ってこないんですよ。もう全然超えてこないんです。「え、これで終わり?」と正直思ってしまいました。1作目は結構ギリギリまでドキドキハラハラそしてまたドキドキさせられる作品だったのですが、この作品に至ってはドキドキすればするほど損をしてしまうというような作品でした。
⑤かといって悪いところばかりだったわけではない
source:PACIFIC RIM UPRISING 2018 Meet Scrapper! by KaijuATTACK877 on DeviantArt
ここまでギッタンギッタンに酷評してしまいましたが、『パシリム2』の前半部分に関してはかなり好きです。というのは、私が個人的にアマーラの作ったスクラッパーが可愛くて好きだからというのはかなりあるのですが。スクラッパーが巨大な敵に立ち向かう話だと思って『パシリム2』を観たら多分相当面白いと思うんですよね。ジェイクとアマーラが主人公だと思うから悪いわけです。多分この作品の真の主役はスクラッパーなのです。ほら、「ドラえもん」の主役だって便利な道具を持っているドラえもんなのではなくて、一見何も特技がない野比のび太が主役じゃないですか。今作はなのでスクラッパーが主演の「ドラえもん」のような成長物語的なちょっとしたコメディ映画なわけですよ。だから主役とジャンルをね、間違えて捉えた私がたぶんね、悪いんですよね。ムビチケあと1枚残っているのでもう一度スクラッパーという真の主役にスポットを当てて観て来ようと思います。
でもほんとにスクラッパーを抜きにしても、アマーラとヴィクトリアの関係性とかも前半は結構好きだったんですが、まっさかあのあとヴィクトリアがただのモブと化してしまうとは思わず、後半はひたすらに「OH…」という思いが止まりませんでした。なので、『パシリム2』を観に行って前半を思い切り楽しめたという方は多分後半で解釈違いを起こすと思うんで、もう後半かな?と思ったタイミングで退出してしまったほうが楽しめるかもしれませんよ!
まとめ
というわけで、社会人になってから一発目の映画ブログは『パシフィック・リム アップライジング』でした。うーん。期待がちょっと高すぎたのかもしれませんが、これはひどい!と言わざるを得ない作品でした。もちろん加点方式で観ていれば3億点!ってくらいの映画だったんですが(個人的にはスクラッパーに2.5億点、真剣佑の号令係っぷりに0.5億点あげたいので)、減点方式で点数をつけるのであれ40点くらいの映画でした…。かなり残念です。無駄にまだムビチケ余らせているのでもう一度観なくてはいけないのですが、正直言ってちょっとめまいがするくらいには後悔してます…!あ~…ロッテン・トマトの言うこと聞いておくんだったなぁ…!(笑)
ちなみに前作の監督であるギレルモ・デル・トロ監督が撮った『シェイプ・オブ・ウォーター』はめちゃくちゃ面白かったので、ちょっとしたグロ要素というかえぐいというか下ネタと言うかその辺がイケる方はぜひご覧になってくださいませ。