初めましての方も、お久しぶりの方も、昨日ぶりの方もこんばんは。
あやめです。
さて、今回は「her」についてお話ししていきます。
(source:Her Script | LA Screenwriter)
では、ざっくりあらすじ。
コンピューターの技術が発達した世の中。キーボードを打つ必要もなく声だけでA.I.が文字を打ってくれるような世界。
幼馴染の妻から離婚を申し立てられるも、サインを拒絶し、空虚な日々を送る主人公・セオドア。
空虚な毎日に何か変化がほしいと思ったセオドアは、最新のOSを試しにインストールすることにした。彼女の名前はサマンサ。彼女はこれまでのOSとは異なり、まるで人間の友だちのように接してくれる。
A.I.として進化し続け、「人生」にときめいているサマンサにセオドアは彼女が人間ではないことを認識しつつも次第に恋に落ちていく…。
詳しくはこちらをご覧ください。
最近はやりのA.I.に主人公が恋をするという今作。こうやっていうともしかしてSF?と思いがちですが、この作品は純愛ラブストーリーです。
私何度も言っているように、ラブストーリーが本当に苦手なんですけれど、この作品は本当に純粋なラブストーリーなのに、すごく気に入ってしまってDVD早く買おうと決意してしまいました。
手元に置いておきたいと強く思うほどの良作。
(source:Spike Jonze’s Her, reviewed.)
まず、セオドアという主人公の男性は、手紙の代筆を行う仕事をしていて、感受性豊かな男性でとっても素敵。
ポスターにバーンとでっかく写っているのが彼なのですが、見た目からもいい人そうですよね。いい旦那さんになりそう。まずこの主人公が魅力的な時点で観ていて楽しいですよね。
そんな彼が、奥さんとふさぎこんでしまっているところに、
スカーレット・ヨハンソンの声を持つA.I.
がやってくるんですよ。エロすぎかよ。最高かよ。そりゃ元気になっちゃうよねって話ですよね。
(source:Meet Samantha, the Manic Pixie Operating System in ‘Her’: A Review in Conversation | Bitch Flicks)
このA.I.が本当に賢いんですよね。最初から人間のようなんですけど、生まれたての女の子のような無邪気さを持ちながら、思いやりや、悲しみや、怒りや、恥じらいや、楽しさ、そして愛を覚えていくんですけれど、その過程がただただ美しくて。
本物の恋人のように愛おしくて、本物ではないからこそどこまでも一緒に行ける、A.I.だからこそできる恋人としてのあり方も、一見奇妙なのに、この映画では微笑ましいものになっています。
また、サマンサを演じたスカーレット・ヨハンソンの演技も素晴らしくて、声だけでここまで感情豊かに演じきった彼女に拍手を送ります。
ちなみに吹替版のサマンサは林原めぐみさんらしいので、近いうちに吹替版も観てみようと思います!
私が好きなシーンは、A.I.のサマンサが
「私たち、一緒に写真を撮ったことがないでしょう?だから、この(私が作った)曲があなたとの写真みたいになればいいなって思って」
と言いながら自分で作った曲をセオドアに聴かせてあげるシーンです。それを聴いたセオドアが
「いい写真だね」
と返すところもすきです。
こうして二人はA.I.と人間だからできるデートや思い出を作っていくのですが、もちろんこの映画にも普通の恋愛映画と同じく、二人のケンカやすれ違いの様子も描かれています。
サマンサがA.I.だからこそ起きる問題ばかりなのですが、そのケンカの様子は人間のそれと同じで、胸がキューっと締め付けられました。
また、この作品で注目したいのは主人公を取り囲む人々を演じている役者の豪華さとその演技力。
(source:On Spike Jonze’s Her (2013) | These Girls On Film)
まず友人のエイミーを演じたのは私が大好きな女優のひとり、エイミー・アダムス。「魔法にかけられて」「ビッグ・アイズ」「マン・オブ・スティール」などで知られる女優さんです。
彼女の演技がまた素晴らしい。個人的にはセオドアの恋人がOSであると知った時の彼女が可愛すぎました。大人と女の子との間を演じるのがうまい女優さんだなぁと思ってます。
(source:Which Chris Pratt Is Your Favorite Chris Pratt?)
セオドアの同僚を演じたのは、「ジュラシック・ワールド」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」で近年大活躍中のクリス・プラット。
今作のクリス・プラットはまだシュッとする前のようで、まーるい印象を受けますが、それでもかっこ良くて、さらにそれでいて朗らかで。彼の登場シーンはそれほど多くないのに、素敵だなぁと思わされてしまう演技でした。
こんな上司がいたら毎日会社行くの楽しいだろうなぁ。少なくとも苦痛じゃないだろうな…と容易に想像できてしまうところがクリス・プラットのすごさ。
(source:her-movie-2013-screenshot-catherine-and-theodore - PopOptiq)
セオドアの妻・キャサリンを演じたのは「キャロル」や「ドラゴンタトゥーの女」で有名なルーニー・マーラ。
セオドアの回想シーンで出てくるキャサリンと、現在のキャサリンの様子が全く違っていたので、しばらく同じ人だと気づかなかったレベル。さすが超演技派女優。演じ分けの能力がハンパじゃない。
さらにこの作品、脚本賞でアカデミー賞を受賞しています。全然そんなこと知らずに観てしまったんですけれど、大納得してしまいました。
性欲や、出世欲、顔の美しさなどそんな薄っぺらい理由で生まれる愛ではなく、A.I.と人間の美しくて切ない本当の愛のストーリーをどうかご覧ください。