本日の映画
月川翔最新作『君は月夜に光り輝く』についてお話しいたします。
source:北村匠海の涙も…永野芽郁の叶えられない願いを“代行”『君は月夜に光り輝く』初映像 | cinemacafe.net
あらすじ
新学期が始まり、クラス替えがあり、岡田卓也(北村匠海)はクラスメイトの香山彰(甲斐翔真)に突然話しかけられる。
「これ、あとはお前だけだって」
と渡されたのはこの春からクラスメイトであり、入院中の渡良瀬まみず(永野芽郁)への励ましの色紙だった。
「僕、会ったことないんだけど」
と返した卓也だったが、香山に「そんなのみんな同じだろ」と返されてしまう。どうしようかと思っていると、香山は最後に書いたやつがお見舞いで届けるんだと卓也に告げる。仕方がないので卓也は会ったことのない渡良瀬まみずに会いに病院へ向かうのだった。
渡良瀬まみずの病気はいまだ解明されていない不治の病「発光病」だった。未成年で発症し、大人になるまで生きられないこの病の最大の特徴は肌が光を放つことだった。
渡良瀬まみずの病室へ行くと、そこには病人とは思えないような、普通のかわいい女の子がそこにいた。
「『早く病気がよくなるといいですね 岡田卓也』…ねぇ、これって冷たくない?…もしかして、先生に言われて嫌々来たの?」
とまみずは色紙に書いてある卓也の言葉を読み上げて怪訝な面持ちで聞く。
「ううん」
「本当に?」
「自分の意志で来たよ」
「ならよかった」
看護師が定時の血圧検査に来たところで、卓也はその場を離れようとしたが、まみずは「ねえ、また来てくれる?」と聞き、卓也にメモを渡す。そこには「グミが食べたい」と書いてあった。
卓也は後日、グミを持ってまみずの病室を訪れた。その際に、卓也はまみずに大切なものを壊してしまう。
「ちゃんとお詫びするよ。僕にできることなら、なんでも」
「本当に?…じゃあ、私の代わりに私がしぬまでにやりたいことを代行してほしい」
こうして、卓也はまみずの願いを代行するという二人の特別な関係が始まっていき…。
詳しくはこちらをご覧ください。
感想
みなさん!月川翔監督最新作が公開になりましたよ~~~!!!!!!!!え、月川翔って誰?、ですって…?やだなぁ、『センセイ君主』『響 -HIBIKI-』などの作品が軒並み高評価のあの天才、月川翔監督ですよ~!!!*1
もう私はこちらの記事で以前紹介したように、
もう月川翔という監督のトリコなんですよ!そんな天才・月川翔監督の最新作と聞いただけで観に行かないという選択肢がないのに、なんと主演が永野芽郁さん、北村匠海さんと聞いて本格的に観に行かないという選択肢がなくなってしまいました。
source:俺物語!! インタビュー: 鈴木亮平&永野芽郁、心身ともに“猛男と大和”であり続けた「俺物語!!」を振り返る - 映画.com
永野芽郁さんのすばらしさはもう皆さんに『俺物語!!』を観ていただくほかないのですが(本当に『俺物語!!』は今思えば坂口健太郎と永野芽郁の出世作となった作品なので本当にすごい作品ですね)、もう「透明感がある」を地で行くような女優さんで、しかも「可愛い」という演技を嫌味なくできる女優が今の日本にどれだけいるかっていう話なんですよね!本当にいい女優さんです。なんで一時期意地悪な役ばっかりやらされていたんだろうか。
source:「隣の家族は青く見える」第2話、北村匠海の“キスおねだり”ショットを公開! | テレビ・芸能ニュースならザテレビジョン
そして北村匠海さんですよ…。映画で言うと私は『勝手にふるえてろ』の一の役がたいそうお気に入りです。あの北村匠海の演技は天才としか言いようがなくてですね、最後の「名前なんだっけ」を聞いた瞬間に私の心はスタンディングオベーションでしたよ!それだけにとどまらずドラマ「隣の家族は青く見える」では、同性愛者の役を演じ、同性愛だからってコソコソ生きなきゃいけないっていうのは変だ、と訴える純粋無垢なかわいらしい青年を演じていてまさに演技のふり幅が半端じゃあねえな…と思ってしまった次第なんですよね…。(さくちゃんほんとにかわいいよ!!!!!続編待っています!!!!!!心から!!!!!!)
こんな若き天才俳優二人が主演で監督が月川翔、観ないわけがない!期待しないわけがない!というわけで観てまいりました。
そんな今作、さすが天才月川翔だよね…。素晴らしい、一作でした…。何がそんなに素晴らしかったのか、よかったら自分めにお話しさせてください…。
①まるで人のアルバムを覗くような映画
この映画の特徴として、観客が全員彼女が「すでに亡くなっている」ことを知ってから物語が始まるというものがあります。これに関しては、すでに予告の時点でも北村匠海演じる卓也のモノローグが使用されていることから、もう周知の事実として取り扱われる大前提としての設定となっています。
このような病気モノの映画としてはちょっと意外ですよね。しかも恋愛映画でもあるのに。彼女がすでに亡くなっていることを観客が知るところからまさにスタートするのです。正直、これ始まったときに大丈夫なのかな~なんておもっていたんですが、これがいいんですよね。変にその生死で物語を引っ張ろうとしない部分が!死ぬの?生存するの?!って観客が生死でハラハラする映画ではなくて、この映画はすごく短期間ではあったけれど、二人の「光り輝く」やさしく心に残る恋についてをとてもまじめに誠実に描いた作品になっています。だからこそ、最後は死ぬと登場人物たちと同じくわかっていながらも、観客の私たちもまみずに生きていてほしいと、しかしそれが叶わないのだという切なさと悲しさが倍増してしまいました
まさに、親戚の家などで、偶々誰かのアルバムや手紙を見つけてしまい、誰かの人生の素敵な一部分を知ってしまったときのような、そんな映画なんですよね…。
②病弱で可哀想な女の子ではない渡良瀬まみず
確かに劇中の彼女はほぼ全編にわたって患者ですので、パジャマ姿で、どこからどう見ても病人、といういで立ちなのですが、私は従来の病弱で可哀想な患者像に彼女は当てはまらないキャラクターになっていると思いました。彼女は「一見」本当に普通の可愛らしいどこにでもいる女の子なのです。でもそれって、実はすごくリアルではないですか。患者だからって誰しもがふさぎ込んでいたり、声が小さかったり、どこかはかなげだったりするわけではありませんよね。みんなそりゃあ闘病のつらさだったり、どうして自分が、という思いは抱えながらも、そんな気持ちと向き合う姿勢はそれぞれだと思います。
また、渡良瀬まみずを演じた永野芽郁さんも、彼女をただの可哀想な女の子にはしたくなくて、という話をされていました。そしてやっぱり永野芽郁さんの演技がすさまじくてですね。何がすさまじいって先ほど述べたように、まみずは「一見」普通のどこにでもいるような快活な女の子なのですが、ふとした瞬間に彼女の抱えている「何か」が垣間見えるんですよね。これがあっぱれ!永野芽郁としか言いようがない技量で本当に恐ろしい女優だなと思わされるわけです。私が特に永野芽郁という女優にぞっとしたのは冒頭のあらすじにも書いた卓也との最初の会話のシーンですね。あのシーンの永野芽郁にはもう恋をせざるをえないというか、夢中になってしまいます。彼女のキレイな瞳に取り込まれそうになってしまいました。
③主要人物以外の人物にしっかりと厚みを持たせる
source:天使かな?可愛すぎる今田美桜『君は月夜に光り輝く』
主要人物二人だけの世界を描くことに定評があるデイミアン・チャゼル監督の逆を行っている1人が月川翔監督かもしれないな、と今作で私は思ってしまいました。多分今作をデイミアン・チャゼルが撮ったら私今田美桜なんて映ってたっけとか思っちゃってたと思う。私はデイミアン・チャゼルは好きですけどね。
しかし今作は本当にサブキャラクターにまでしっかりと厚みがあって、そこがこの映画にさらなる味わいを生んでいるのかな、なんて。どのキャラクターの心情もセリフにはせず、しかししっかりと映すことで描いているんですよね。そう、それが映画のいいところなんだよなぁ…!言わなくても観客につたえることができる、それが映画のいいところなんだ…!
本当にどのキャラクターにもちゃんと感情移入できるようになっていたのですが、私はやっぱり今田美桜さん演じたメイド喫茶のメイドさんリコちゃんのその後がとてもとても気になってしまった…。この映画、卓也とまみず視点で観てたらとても淡くて切なく美しい恋物語なのだけど、リコちゃん視点で観てたらもうなんか切ねえ~~~~~!!!!!!!始まる前に終わる恋愛しんど~~~~~~!!!!!となってしまって結構序盤で泣いてしまうつくりになっている。そうなんだよな…。誰かの恋愛がうまくいくってことはもしかしたら誰かが失恋してるかもしれないんだよな…。
source:画像(11/13) 永野芽郁「いま輝いています!」朝ドラ後初の主演作『君は月夜に光り輝く』が完成! | NewsWalker
もちろん何度も申しておりますが、リコちゃんだけではなくてですね、「仮面ライダーエグゼイド」でパラド役を演じた超長身イケメン甲斐翔真が演じる香山くんも実はただのクラスメイトではなかったり、だからこそ生まれる卓也との絶妙な関係性だとかもものすごくしっかり描かれているのです。サブキャラとは考えられないレベルで…。優香演じる看護師とかもね…。及川光博演じるまみずの父親だとかね…。ちなみに『七つの会議』観に行ったあとに『君は月夜に光り輝く』を観に行くと少し面白いかもしれない。私は少し笑いました。
④月川翔監督は北村匠海の活かし方をこの世で一番よく知っている映画監督
source:ジャンポケ斉藤が“一人遊園地”を楽しむおじさん役で映画に!共演した北村匠海は「食べちゃいたい」(画像1/3) | テレビ・芸能ニュースならザテレビジョン
そして今作なんといっても北村匠海が素晴らしいというのと、月川翔監督の北村匠海の活かし方がすごすぎるんですよね。まずこの話って設定に無理があると思っていて、もちろんそれは「発光病」という病気にも言えることだとは思うんですが、たとえそれが「ガン」だったとしても、会ったことがない死にかけている女の子があまりにもかわいかったからと言って17歳くらいの男の子が好意で言うこと聞いてあげるかなっていう。(正確にいえばお詫びが先行しているのですが)
でもそれをまず北村匠海「が」演じている卓也を見るとなんだかすとんと受け入れられてしまうんですよね。「あ、コイツなら多分やってくれちゃうんだろうな」というか、妙な説得力を与えているんですよね。これはもちろん北村匠海の演技が素晴らしいのもあるのですが、月川翔監督の北村匠海の活かし方がとにかくぴったりというか秀逸だからという理由にもよるのかなと。「僕」という一人称だったり、あまり色味のない服装だけれど、清潔感はしっかりとある感じだとか、それでいて前髪は長くてちょっと陰鬱そうな感じもしたりだとか。そういう少しずつの卓也の演出がそういう説得力を生んでいるんだと思うんですよね。
source:イケメンすぎる悪役ハリウッドスター、マッツ・ミケルセンが次に演じたい役は意外にも“あのヒーロー”だったことが判明
あと何より月川翔監督『君の膵臓を食べたい』に引き続いての北村匠海の起用なので、相当北村匠海のことを気に入っているんだと思いますが、なんだか小島秀夫のマッツ・ミケルセンへの愛情に似たものを感じました。(なんか眼鏡にひげだし雰囲気似てない?小島秀夫と月川翔) もしかしなくても月川翔監督めちゃくちゃ北村匠海のことすきでしょう?(笑) そうじゃなかったらあんな猫耳っぽいカチューシャつけさせたり、北村匠海に女装させてジュリエット演じさせたり、あんな年下彼氏めちゃくちゃほしくなるようなまみずが卓也を胸に抱きよせるっていうシーン撮ったりしなくない?!?!?!月川翔監督に足向けて寝られない北村匠海ファン多分全国に4千万人くらいいるとおもうんですけど、私もその一人です。
まとめ
というわけで、今回は熱く月川翔監督リスペクト記事を書いてしまいました(笑)
でも本当にこの作品とてもとても美しくて、一つ一つの主要シーンが本当に美麗なんですよね。額に入れて飾りたくなるようなシーンばかりでした。そして最後、二人の走馬燈のようにかけるシーンの連続はあまりにも美しくてとても切ないながらも心がすっきりするようなそんな感覚に襲われました。ちなみにポスターでまみずがなぜ足を上げているのか、映画を観た後に私たち観客は理由を知ってさらに涙することになるんです…。
あと今作のいいところは、それぞれのキャラクターに無理がないところですかね。こんなコいそうだなーとか、容易に観客が想像し得るキャラクターでいたので、物語に入り込みやすかったです。一つ残念な点を挙げるとすれば、他の邦画作品よりは随分とましですが、やはり「わよ」というような女性独特の書き言葉がそのまま「話し言葉」として取り入れられてしまっていた点(これは『響』にも共通する残念な点。響ちゃんは小説好きという設定があるので、いいんだけれど、北川景子の役にはやらないでほしかった)と、やっぱり感動シーンでピアノがくるんですよね…。いや、全然マシなんですよ!!!他の多くの邦画作品と比べたら!でも多分もっとうまくできると私は信じています…!!月川翔監督だいすきなので、その二点だけ、その二点だけどうか改善よろしくお願いいたします…!!!!!!