本日の映画
今回は、Netflixオリジナル映画『クレイジー・クルーズ』についてお話ししていきます。
source: クレイジークルーズ : 作品情報 - 映画.com
あらすじ
クルーズ船でバトラーとして働く冲方はお天気キャスターとして働く恋人・若葉との結婚を控えていた。北海道から出航し、エーゲ海を目指すこの47日間のクルーズ。途中に寄港する横浜で若葉もこのクルーズに乗船し、またこの旅の後には若葉との輝かしい人生が待っているのだ……と心を躍らせながら、この豪華客船に乗る我儘な客たちの要望に応えていた冲方だったが、若葉から突然「仕事が入ったためクルーズには乗れない」というメッセージが届く。絶望しながらも理解のある恋人として若葉に返信をし、業務に戻った冲方は、横浜から乗船する客の応対を行なっていた。そこで最後に乗船した女性・千弦は受付に向かうことなく慌ただしく船の中に入って行こうとする。冲方は慌てて彼女を止めると、千弦はこの船に乗っているはずの若葉を探しにきたというのだ。冲方のネームプレートを見て、千弦はさらにこう続ける「あなたの恋人と私の恋人が浮気してるんです」。しかし、船に若葉はおらず、そして横浜を離れ、エーゲ海へと向かい始める。
千弦は「じゃあ私はこの船を降りないと」と言って船を止めようと船長を探し始めたが、当然そんなことはできないので冲方は彼女を止めるために船を駆け巡る彼女について行くことに。そして、ひょんなことから居合わせたカップル2組と男児と共に屋上のプールに来た冲方と千弦はそこで男性の叫び声を聞く。プールの方を見るとマントを羽織った人物がそそくさとプールを後にし、そして高齢の男性がプールへ沈んでいく様子を目の当たりにする。「これは殺人事件なのでは……！？」と冲方は急いで船長を呼びにいき、再び船長と共にプールに戻るもそこには死体も他の乗客たちもいなくなっていた。
「本当に死体なんかあったの？」と船長に疑われてしまった冲方は一緒に居合わせたカップル2組と千弦と男児を集めるが、なぜか全員「殺害現場なんか見ていない」と言い始めて……。
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タイトルからダサい、全てダサい、全てやり直せ
source: 吉沢亮×宮﨑あおいW主演×坂元裕二脚本 Netflix映画『クレイジークルーズ』吉田羊、菊地凛子らが演じる個性強めなキャラが勢ぞろい！ - otocoto | こだわりの映画エンタメサイト
少し前にストーリミングサービス地獄がつらいよという記事を書いたんですが、
正直もう『セックス・エデュケーション』も完結したし、ネトフリ観るものないな〜と思って、解約を検討していた頃に「脚本坂元裕二で主演吉沢亮の映画を配信します！」と言われたので、「え、え〜？！？！脚本坂元裕二？！あの「大豆田とわ子と三人の元夫」の*1？！『花束みたいな恋をした』の*2？！や、やば〜！！！！契約延長します！！！」とめっちゃテンション上がったんですよ。
というのはですね、私もうかれこれ吉沢亮のファン10年以上やってまして、でも吉沢亮って出演作に当たりが少なくて。「仮面ライダーフォーゼ」と『キングダム』と『青くて痛くて脆い』とかは本当めちゃくちゃ良かったんですけど*3、もうお前そんな映画とかドラマとかわざわざ出てんじゃねえよ！！！！みたいな作品ばっかり出ててですね、世間に見つかったのはいいけど見つかってから出る作品これかよ！と。あくまで個人の感想ですよ。でも私は吉沢亮には美しすぎて世界を支配して破滅させるような役とか、美しすぎるけどマジでクズで本当にごめんだけど死んでほしいなみたいな役をやってほしいなと思ってたし思ってるんすけどどうですか？（どうですかとは）そこに来て坂元裕二脚本の映画の主演ですよ！！！それは期待もするってもんでしょう！！「う、うわ〜！！！！！麦くんみたいに死んだ目になる吉沢亮もしかして見れるんか〜*4？！？！」と思って本当に本当に期待してたんです。
source: 恋と航海は戻れない『クレイジークルーズ』で再確認する坂元裕二脚本術 - otocoto | こだわりの映画エンタメサイト
ですけど……、蓋を開けてみたらめちゃくちゃダサい映画になっててですね……。なんかもう開始10分とか15分くらいから「え？これ本当に俺の知ってる坂元裕二が書いてんのか？」って感じにダサくてですね……。本当泣きそうになりながら観てました。最悪な意味で。
まずマジでNetflixとかいう潤沢な資金を持ってる会社がこんなどっかで見たことあるわ……みてえなロケ地ばっか使ってんじゃねえんだよ。出てくるとこ出てくるとこロケ地が使い果たされてる場所なのどうなんすかって思って……。せっかく豪華クルーズ船が舞台なんだったらもっと現実離れしてるような誰も見たことないような場所で撮ってほしいって思うのは私のわがままなのか？Netflixどう考えても金あるからできるだろそれくらいと思ってしまうのは私が悪いんか？？何をHey!Say!JUMPのMVとか仮面ライダーのロケ地になるようなとこで撮ってんだよ*5。そんなとこで撮ってんじゃねえよ、お前Netflixオリジナルなんだろうが。ていうか全編クルーズ船で撮影しろよ、CG死ぬほどわかりやすくて引くわ。コロナ禍で大変だったみたいですけど、こんな映画になるくらいだったら普通に撮影延期して撮影地とか凝るべきだったと思いますよ。結局儲かることしか考えてないのかなって感じです。いい映画を作る気がないのがもうそれだけで伝わってくる。
あと、なになに〜？（©︎イ・ホンギ*6）もうなんだろう、各シーン各シーン全部ダサいわ。宮崎あおいがヒロインだからなのか登場シーン意味ありげに走ってくるシーンとかもダサいわ。とにかく全編にわたってこれなんか観たことあるんだよな〜〜！！みたいなシーンの連続で真新しさがなくてもうなんか大学生の自主制作映画の方がもっと独創性があって面白いんじゃないかなと思うくらいで本当何？って感じでしたね。なんだろ、本当いちいち安っぽさが目立つんですよね。
それからもうなんだろう、スタイリストもう、どうした？つらいん？話聞こか？っていいたくなっちゃいました。もう私の脳裏にはラストシーンの宮崎あおいのメイクが似合ってなさすぎたのと、途中で客に変装する吉沢亮のマゼンタのスーツの似合わなさがこびりついてて、今死んだらあれが走馬灯のように流れそうでいや。なんか宮崎あおいと吉沢亮の元来の顔面偏差値が高すぎるから似合わなくても全然綺麗だけど、でも似合ってないな……みたいな。私が岡田准一だったらマジで本当全編撮り直させてたよ（？）ていうか吉沢亮の化粧が濃すぎるんですよ。あれじゃK-POPアイドルじゃねえかバトラーじゃなくてよ。どうなってんだよあの世界のバトラー。みんな吉沢亮のファンデ濃すぎて気にならなかった？本当？
ていうか日本語のタイトルの『クレイジー・クルーズ』てなんだよもう映画がダサすぎてタイトルもめっちゃダサいわってなっちゃうんですよ。洋画でも『クレイジー・リッチ！』とかあったじゃんとか思うかもしれないんですけど*7、あれは原題は"Crazy Rich Asians"で「意味わからんほど金持ちのアジア人」でまさしくそんな話なんでわかるんですけど、今作は別にクルーズがクレイジーなわけじゃなくてクレイジーなのはこれを全世界配信しようと決めた大人なんで本当マジで……。
あなたの世界ではこれを伏線回収とか会話劇とか呼ぶんですか？
source: 『クレイジークルーズ』坂元裕二ファン必見！圧倒的スケールと緻密な会話劇 | Netflix Freaks
話の内容に触れる前からあんなに言うこといっぱいあるのにこの作品本当に面白くなくて……。なんだろう、ところどころ急にキャラクターが意味わからないタイミングで意味わからないこと言うためにすごい盛られたキャラクター設定になってるんですね。で、その意味わからないタイミングで言ったセリフが後から「ああ、ここにつながってくるんだね〜」みたいな感じで一応「回収」されるんですけど……。いやそんなものは伏線回収だとか会話劇だとは呼ばないし呼ばせないからね？って感じなんですよ。
あと普通に人一人死んでたり重症負ってたりするのに登場人物の誰もマジで全然慌ててなくて、なに〜〜？？？？？って大混乱なんですよ、こちとらは。もうなんか倫理観を殺して見る作品なのか？そういう作品なんだったらちゃんとそうやって見せないといけないのにこの映画では全然できてないんですよ。「人が死んだり重症を負ったりしてもこの世界では全然大丈夫なんです！」っていうのをうまーく観客に刷り込ませないとそこにこっちの倫理観と映画の中の倫理レベルがズレるのにそこをすっ飛ばすから「こんな人命を軽視する奴らの恋愛とかがどうなろうがマジでどうでもいいんですけど……」って感じなんですよね。あと例えじゃあ乗客の倫理観はぶっ壊れてたとしても、普通人が殺されたところを見たって報告があったら船長くらいは万が一があってはいけないから緊急事態としてそりゃ船の航路変えて日本帰るでしょ。でも帰りませんし。あんな10歳とか行かなそうな子どもがお母さんのこと普通に好きそうなのにお母さんが階段から落とされてドクターヘリで運ばれるっていうのに好きな女の子と一緒にいたいからみたいな理由で自分だけ船に残ったりしないでしょ。それから殺害現場になったプールに例え失恋の痛みがすごすぎたからって自分で飛び込まないでしょ。もうこういうツッコミばっかなんすよ……。
それからこの映画の主題が全然わからないんですよね。結局マーダーコメディみたいなところに主題を置きたいのか、主役二人の恋愛が主題なのか。しかもどっちも結局中途半端というか。殺人事件の方なんか全然意外性がないし、恋愛の方も「いやまぁ宮崎あおいの顔面でそんな可愛く笑いかけられちゃったら好きになるよね」くらいしか好きになる要素がわからなくて？？？って感じですね……。いや自己肯定感低すぎる主人公的なの描きたいんだったら絶対吉沢亮じゃねえだろ主演って感じじゃないですか。誰が吉沢亮の顔面に生まれて自己肯定感低く人生送れるんだよって感じなんで……*8。吉沢亮に生まれたら自己肯定感限界突破してしまうわ。
殺人事件の方の話の杜撰っぷりは凄くて、とにかくまず先述したこの世界の倫理観がぶっこわれてる……のかと思えば死体をせっせこ隠したりとかしてて結局なんなんだ？って感じですし、そもそも犯人をミスリードさせる気も全然ないからワクワクドキドキみたいなのも全然ないですし、それから犯人に対しては「先にあの話をしてたからあとはどういうことか分かりますよね？」って感じで犯人が劇中で判明してからも犯人側のストーリーに対してのフォローとかもなくて、私からすると「いや犯人の動機づけ弱すぎるだろ……。そんな動機で殺す人間こんな回りくどいこと絶対せんわ……。たまたまそこにいたからやったーって感じで殺してる？？？ソシオパスなの？？？」ってなっちゃって、この犯人がどうしてわざわざこんな場所で殺した理由がわからなすぎて最後も全然しっくり来ないんですよね。
あとこれもう最後まで観た人にしかわからないですけど、あのキスシーンの連続いる？！？！私が岡田准一だったら監督と脚本家を自宅に呼びつけてジークンドーくらわすレベルで入らなかったし、ついでに吉沢亮のことを芸能界から追放してやるってくらい要らなかったんだけど？！いや確かにあのシーンはかなり坂元裕二感あったけどもよ、だからっていきなりすぎるんだよ。自分が岡田准一じゃなくてよかった、すごい罪を犯すところだった……。
坂元裕二っぽいところはやっぱりちょっと良い
まぁそんな中でももうこれは見どころがない！！とまで言い切れるシーンばかりではなくて、やっぱり坂元裕二っぽいなんだか微笑ましくてくすぐったいような人間関係の様子みたいなシーンは良かったです。冲方と千弦が二人の恋人に対抗するために、二人の影の写真を撮るシーンとか好きでした。あまりにも画が安っぽすぎてそこは監督頑張ってくれって感じなんですが。
あと個人的には菊地凛子演じる映画の業界人の役が結構好きでした。「カルテット」でも菊地凛子演じる天才の役が結構好きだったんですが*9、やっぱり菊地凛子はいつでもちゃんと坂元裕二の脚本にカチッとハマれる人なんだなと思いました。
いやでも本当に良いところがなかったわけではないとは言ったんですけど、良いところも同じくらいあったんだよというのは無理で……。フォローはしきれないですね。
あと吉沢亮と宮崎あおいと坂元裕二の座談会で、ずっと気になっていた「バトラー」の発音（イントネーション）の話があって驚きました。今作ずっと「バトラー」が「マヨラー」のイントネーションで言われているので、「？？？」ってなってましたね。（一緒に観ていたイギリス人は「これだとバトルする人っぽいよね」と言ってました。）あれはなんのこだわりなんだろうか……。普通に「バトラー」と発音することはできなかったのだろうか……。
まとめ
source: Watch In Love and Deep Water | Netflix Official Site
というわけで今回は『クレイジー・クルーズ』についてお話ししました。この映画のおかげで私はNetflixの解約に踏み切れました。ありがとうございました。
ところどころやっぱりキャラクターのセリフとか、このぎこちなくて不器用でヘンテコな距離感とかは凄く楽しかったんですけど、それ以外の部分がマジなのか……？というくらい本当に死ぬほどダサくて泣けました。私は坂元裕二脚本はコメディとかだと見られないのかもしれないですね……。
誰か頼むので吉沢亮に顔面偏差値に頼らずとも良い作品になる出演作を与えてください……。本当お願いします……。なんだ？もしかして吉沢亮の顔面が強すぎて作品の方が勝てないのか？もうなんだ、デイヴィッド・フィンチャーとか連れてくれば良いのか……*10？（『ザ・キラー』良かったね……*11。）
*1:「大豆だとわ子と三人の元夫」…松たか子主演のテレビドラマ。松たか子演じる主人公・大豆田とわ子とその三人の元夫との不思議て愉快な人間関係模様が描かれるコメディ作品。
*2:『花束みたいな恋をした』…2021年公開の映画。主演は菅田将暉と有村架純。それぞれ夢を目指していた男女の出会いから別れまでを描く失恋映画。
*3:「仮面ライダーフォーゼ」…東映特撮人気シリーズ仮面ライダー作品。2011年から2012年放送。主演は福士蒼汰。吉沢亮は2号ライダーである仮面ライダーメテオを演じる。
『キングダム』…同名漫画作品の実写映画。主演は山崎賢人。
『青くて痛くて脆い』…同名小説作品の実写映画。
*4:麦くん…『花束みたいな恋をした』で菅田将暉が演じた主人公。
*5:Hey!Say!JUMP 「Masquerade」のロケ地が本作のクルーズ船の中のシーンで使用されている。
*6:イ・ホンギ…韓国人歌手、俳優。現在「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」にてトレーナーとして出演中。
「なになに〜？」が可愛い。
*7:『クレイジー・リッチ！』…2018年のアメリカ映画。
*8:吉沢亮は「イケメンですね」と言われることに慣れすぎているので……。
*9:「カルテット」…坂元裕二脚本のドラマ作品。主演は松たか子。
*10:デイヴィッド・フィンチャー…アメリカ人監督。『ゴーン・ガール』『ソーシャル・ネットワーク』等で有名。
*11:『ザ・キラー』…デイヴィッド・フィンチャーによるNetflixオリジナル作品。マイケル・ファスベンダー主演のスリラー映画。
