本日の映画
皆さんお久しぶりです。あやめです。
勤め先が変わりまして、ちょっとばたばたしているうちに1か月もブログを更新できない状態になってしまいました。
一応ラジオは更新していたので、ラジオのほうも聴いていただけたら嬉しいです。
(吉沢亮さん主演の『あのコの、トリコ。』とタイ映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』についてお話しています。)
さて、今回は全編PC画面で繰り広げられるというなんともSNS黎明期である現代にふさわしい映画『Search/サーチ』についてお話していきます。
あらすじ
数年前に妻を亡くした主人公デイビッドは、娘のマーゴットと二人で暮らしていた。妻の死去後も変わらずマーゴットとは良い関係を築けている、だって毎日メッセージのやり取りもしているし…などと思っていたデイビッドだったが、ある日、娘が同級生との勉強会に行ったきり自宅に帰ってきていないことに気付く。授業で使うはずのラップトップは自宅に置いたまま、頼んでおいたゴミ捨ても放置されたまま。
最初はどうせ前に一度あったようにただのさぼり、警察に連絡するほどでもないか…どうせそのうち帰ってくると思っていたデイビッドだったが、いい加減連絡がつかないことを心配し、娘の通うピアノ教室に連絡してみる。
「すみません、うちのマーゴットのレッスン中だと思うのですが、ちょっと娘に電話をかわっていただけませんか?」とデイビッドは講師に頼むも、返ってきた答えは「…キムさん、マーゴットは半年前にすでにレッスンをキャンセルしていますが…」というものだった。ピアノ教室をやめたことなど全く聞いていなかったデイビットは、マーゴットがなぜ自分にそれを教えてくれなかったのか、そして自分がピアノレッスン代として渡していた1か月100ドルという金はどこへ行ったのか…、そしてマーゴットはではどこにいるのか…。
全編PC画面にて繰り広げられる衝撃のストーリー。ちりばめられた伏線にあなたは気づくことができるか?
詳しくはこちらをご覧ください。
Review
①全編PC画面!が売りと言われているが、それを上回るストーリーの濃厚さ!
(source:'Searching' Official Trailer (2018) | John Cho, Debra Messing - YouTube)
各所で「全編PC画面」のみ!というポイントがプッシュされている今作。もちろん私もその部分がトリガーになる形で今回、今作を鑑賞したわけですが、実際鑑賞してみるとこの映画普通にストーリーがめちゃくちゃに面白い!肩で呼吸をしてしまうくらいには最後までドキドキしてしまい、結局事件の真相は?マーゴットは生きているのか?どこへ行ったのか?という部分に最初は本当に蛇がゆっくりと地を這うような速度で、そしてクライマックスに近づくにつれ、その蛇が獲物へ食らいつくような勢いでぐわっと向かっていくのがもうたまらん面白さでした。
そしてもちろん全編PC画面、斬新でとても面白かったです!最初は妻のパムさんが生きていたころから始まるのですが、そのときのOSがWindowsXPで、そして現在はまさかのMacに変わっているのがうまい時代の移り変わりの表現だなと感心させられたり。スマートフォンが出てきて、さらに人々とインターネットの距離が縮まり、すでにオンラインというものは生活に必要な環境となりました。ですから、この映画が見せてくれるようにPC画面だけで映画を一本作るなんてものも言われてみれば無理がないことなんですよね。
いやしかし、お父さんであるデイビッド、マーゴットの居場所を探るために娘のSNSアカウントにログインするのですが、もちろんパスワードなどわかるわけないので新しいパスワード発行しまくるんですよね…。 私あれやられたら死んでも死にきれないな…。
②伏線がちゃんと張られているので、ミステリーとしての要素も面白い!
(source:The Searching trailer tells John Cho thriller entirely through his computer screen)
この映画がすごいところは、観客に事件を解くためのピースをしっかりと提示しているところです。なので私のように『名探偵コナン』を読んでも謎解きなんか一切せず、「へ~~~この人が犯人なんだ~~~~(あほ面)」とかしていない人であれば、ぜひとも謎解きチャレンジしてみてください!多分答えにたどり着けるはずです。
確かに「あれ?これって…?」という引っ掛かりポイントが何度か出てくるんです。かなりイージーなものから、「えっ!そこも事件のヒントだったのか!」というものまであるので、これは違うっしょ~と思わず、皆さんすべてのピースを答えを導き出すクルーだと思ってしっかり記憶して鑑賞してみてください!きっと名探偵なあなたなら答えにたどり着ける!がんばってください!私は普通に衝撃のラストを迎えてしまいました。くそ~~!!!
③SNSに慣れ親しんでいる人ほど恐怖を感じるかもしれない
(source:Searching Movie: Go Behind-the-Scenes in New Featurette)
この映画ではいろいろなSNSが出てくるのですが、代表的なところだとFacebook,Tumblr,Youcastなど。とにかく実在するSNSが出てきます。しかもなんかめちゃくちゃ凝ってることに、娘のマーゴットのFacebookアカウントは実際あるらしいです。
というわけで冗談抜きで2年ほどログインしていなかったFacebookにログインして確かめてきました。
https://www.facebook.com/margot.kim.79
おそらくこちらのアカウント。凝ってんなー。ちゃんと舞台の設定になっている2017年の投稿じゃんすげー。と感心。
一応本編では非公開アカウントなのですが、ファンが見られるようにさすがにパブリックアカウントになっていますね。よかった。友達申請しないといけないのかと思った。
(あと久々に開いたら驚くほど通知来ているかなと思ったんですが、友達リクエストが14人、通知が22件だったので全然平気でした。あと通知に「~さんが久しぶりに投稿しました」とあるのがもうFacebookの終焉を見ているようでなんとも言えないきもちになりました。がんばれザッカーバーグ。)
それでですね、話が脱線しまくってしまったんですが、何が怖いって、この映画の描くSNSを軸とした現代の人間関係というものの薄っぺらさ、信用のできなさというところのリアルさですね。
まずデイビッドはSNSを使って様々な人物に娘のことを尋ねるのですが、みんな口をそろえて「そんなに仲良くないし」というんですね。Facebookでは「友人」のくせに。でもこれめっちゃ気持ちわかります。SNSの表示では「友人」になっているけど、実際「1回あっただけの人」「クラスメートだったけどしゃべったのは多分1,2回」「友達の友達」とか正直よくわからない人いっぱいいます。私もFacebookに300人ほど友人がいるのですが、私が「友人」だと思っている人は多分10人程度…もしくはがんばっても30人いかないくらい…と思っているので、この10倍に膨れ上がった「友人」たちの9割が実際そういう知人以下の関係なんですよね。そんな知人以下である人々がマーゴットの事件が大きくなるにつれて「悲しいよ」「仲もよかったし心配」などと言い始めるのです。だって彼らは「友人」なので…。わかる~…。誕生日と結婚のときだけ話す人いる~…。と思いながら見ていたので、多分私の誕生日を祝ってくれるだけの知人の中の何人かはこういうことをするんじゃないかな、と思っています。
そしてYouTubeのコメント欄のモラルの低さね!ここがめちゃくちゃリアル。「どうせ父親が犯人」「本当にやばいのは父親」など、うわめちゃくちゃ見たことあるそういうの!とデジャヴを感じざるをえなくて、うんうんうなずきながら観ていました。どうでもいいんですけど、Yahoo!ニュースのコメント欄はなんであんなに人として下品な発言が多いんですかね…。Yahoo!ニュース本当になんなんだあそこは地獄か…。あ、はてブもどっこいですね…。はてブロはほとんどの皆さんが温かいんですきです。ほんとにどうでもいいんですが。
④上映時間102分でこれだけの展開が盛り込まれているのがすごすぎる!
この映画のすごいところは作りこみの細かさだとか、登場人物の信条のリアリティさだとか(特に私はデイビッドがマーゴットにぶちギレメッセージをはちゃめちゃに長文で打ってからやめるシーンのリアルさがすごくすきでした。)もすごいんですが、やはりなんといってもこの上映時間に対してのこの密度の濃さでしょう!102分ですよ!冒頭とエンドクレジットが合わせて10分だとしておよそ90分で繰り広げられたとは決して思えない怒涛の展開とまさかの結末!何度も騙されたので、私はてっきりこの映画120分くらいかと思ってましたよ!違うのか!正直短い映画がすきな私としてはこの上映時間でこのクオリティのスリラー映画が観られたのは大満足です!素晴らしい!
ぜひとも映画を観るのはそんなに慣れていないという方も観られる上映時間だと思いますので、せっかくなので映画館の大スクリーンでご覧になってはいかがでしょうか?
まとめ
今回は『search/サーチ』についてお話いたしました。いやー、にしても本当に面白かったです。ちょっと今年、秋映画こう『ファンタビ』に全振りされすぎていて、個人的にパッとしないなー、と感じていたのですが、『若おかみは小学生!』と一緒に推したい一作ですね…!ちなみに『若おかみは小学生!』をまだ観ていないという方はぜひとも観に行ってください。子ども向けじゃんなどとは思わずに…!
あと今作の主人公がアジア人っていうのがやっぱりこの映画2018年だな!と思わされるポイントで、個人的にはかなりよかったですね。主人公にアジア人なんて据えたらもう多分一昔前とかではなく、数年前とかでも絶対売れるわけないとか言われて公開されていなかったかもですから。公開されていないどころか制作されていなかったかもですよ。すごいな2018年、マジで激動だ!
今年のハリウッド映画の潮流面白いですよね。まず『ブラックパンサー』がほぼ黒人しか出演していないのにもうすごい勢いで各所で称賛され、大ブームで、しかも本当にこれがかなり面白い、さらには『オーシャンズ8』では女性たちが男性の手をほぼ借りずに自分たちの欲望のままに、男たちなんかいなくても全然私たちはきれいに輝けるということをめちゃくちゃにかっこよく世の中に知らしめ、しかもこれがMe tooムーブメントの中で公開されたのがめちゃくちゃ熱い!そして『Crazy Rich Asians』というこちらもほぼアジア人だけが出演する映画が全米で公開されて大ヒットを記録するという。まさにアメリカが口先だけでなく、本当に「多様性の重要性」というものを”トランプが大統領の今だからこそ”示しているというのが映画界にもしっかりと影響が及ぼされているのがすごい。政治とエンターテイメントがいい意味で絡み合っている、そんなアメリカの激動っぷりを肌で感じるようです。
これは来年のアカデミー賞が楽しみですね!そして個人的にはマイケル・ムーア監督の『華氏119』を早く観たいです。まさにこの映画界全体に影響を及ぼしている根幹の部分の一つともいえる部分に切り込んでいくわけですからね…!どんな映画になっているんでしょうか。楽しみです。