きねまないと

最近映画が好きになった20代が素人目線で好き勝手に映画の感想を綴るブログ。

語られなかった空白の期間の真実がここに!彼女の姿をその目に焼き付けよ!『ブラック・ウィドウ』

 

本日の映画

今回はMCU(Marvel Cinamatic Universe)最新作ブラックウィドウについてお話ししていきます。

 

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Source: Black Widow: Movie Rating Teases Violence & Language - The Direct

 

 

あらすじ

キャプテン・アメリカがソコヴィア協定に同意せず、旧友であるウィンターソルジャーや、ファルコンらと共に逃亡した際、同じく政府に反したことで身を追われることとなったブラックウィドウことナターシャ・ロマノフ。

そんなある日彼女の元に謎の小包が届く。開けてみるとそれは生き別れになった彼女の妹・エレーナからのものであるようだった。生きていたのかと驚くとともになぜ自分に?と不思議に思うナターシャ。

その後、所用で家を出たナターシャは謎の人物に命を狙われることとなる。命からがら逃げ切ったナターシャはブダペストへと向かう。そこでエレーナと数十年ぶりに顔を合わせたナターシャはかつて自分たちを傭兵に仕立て上げたレッドルームがまだ存在しており、かつての自分達と同じく無実の女性たちが殺し屋(ウィドウ)として育てられていることを知った。

エレーナがナターシャに送った小包はウィドウたちの洗脳を解く薬品であり、エレーナはこれを使ってウィドウたちを救いたいと考えていた。ナターシャもまた自分が壊滅させたと信じていたレッドルームがまだ存在していたことを知り、エレーナとともにレッドルーム壊滅へと乗り出す。

今まで語られてこなかったナターシャの過去と、彼女の贖罪とはなんだったのか……。

 

詳しくはこちらをご覧ください。

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400日分の期待にしっかり応える、それがMCU

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Source: Here’s When ‘Black Widow’ Takes Place In The MCU Timeline

もうまずはやっぱり言わせてほしい、劇場公開してくれてありがとう!ということを!

やっぱりコロナ禍になってからの映画業界、特にディズニー配給の映画は『ムーラン』から劇場公開ではなくディズニー+(プラス)でのプレミア配信(有料配信)が主になっていたので、今作も配信スルーになってしまうのではと公式に発表されるまでドキドキしていたものでしたが、さすがにアベンジャーズ初期メンバーとして活躍してきたブラックウィドウの単独映画だからなのか、それともディズニーと映画館との信頼関係を今後も継続するためなのかはわかりませんが、無事劇場公開されてよかったです*1

さて、そんな今作ですが、本当にようやく公開されてよかった……。本来であれば2020年の5月、日本のGW(映画館が一番混む時期)に合わせてどどんと公開される予定だったわけで、400日ほど延期されたわけですよね。観客からすれば最初のトレーラー公開から合わせてどれだけ待たされたのかって感じですよ!

しかしこれだけ待たされてしまうと期待が勝手に上がっていくものですよね。もう私は少しケビン・ファイギの胃を勝手に心配してましたよ……*2

しかしそこはMCU流石です!私が心配する必要なんて全くないほど面白かったです!あとこれ先に言いますが今作はコロナ禍よりも前に制作されているため、全然配信とか意識しないで劇場公開に合わせて作られている映画なので、映画館で観られる環境にいる人はぜひ、ぜひ、劇場で鑑賞していただきたいです!ディズニー配給映画は利権がやはり厳しいのか再度劇場で上映されることとかもめちゃくちゃ稀なので、絶対公開させないから映画館で観て!!と私は強く言いたいです。

 

やっぱりすごいぞフローレンス・ピュー

今作で初登場となるブラックウィドウの妹であるエレーナ。

原作ではナターシャの敵として当初登場するエレーナですが、本作の主演、そして自らプロデューサーを務めるスカーレット・ジョハンソンは今作ではそのような敵対ではなく、継承の映画にしたいという思いがあったそうで、このような設定になったようです。出典が全く思い出せない……。私の記憶違いだったらすみません。

しかしアベンジャーズ初期メンバーの一人であり、ブラックウィドウといえばスカーレト・ジョハンソンよねというイメージがもう私達の中でもしっかりと定着しているこんなすごいキャラクターを誰が次に務めるのだろうかと思っていたらまさかのフローレンス・ピュー!!

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source: Florence Pugh in Black Widow: Yelena Belova and the Red Room Explained - IGN

『ミッドサマー』『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』などでその圧倒的な演技力と存在感で一躍世界中にその名を轟かせたフローレンス・ピューがまさかのスーパーヒーローに……*3MCUほんと、キャスティングが大胆なのよ……、あなたは……!

そしてやっぱりすごいぞフローレンス・ピュー!って感じなのです。頭悪すぎるような褒め言葉で申し訳ないんですけど、普通こんな大きなしかも世界中で誰もがしっかりとイメージを持ってしまっているキャラクターの二代目をやるなんてことになったら結構演技プランとかも迷うんじゃないのかとおもうんですけど、彼女はエレーナというキャラクターがどういう人間で、それに対してのベストアプローチをうまくやってみせていて、そしてこの一作だけで観客をエレーナの虜にしてしまうというもうホント恐ろしい離れ芸だよ!ってことをさらっとやってのけてるんですよね。今作を鑑賞してからすぐエレーナが次どの作品に出てくるのか、早くまたスクリーンで会いたいよ!という気持ちが止まらなくなります。

なんと言ってもやはりフローレンス・ピューの演じるエレーナのいいところは強がってるけど、中にはまだ少女がいるというその不安定さなんですけど、もうそれがあまりにも可愛くて……!しかもちゃんとウィドウとして育てられているので普通の人間と比べたら感情の起伏が激しくないというか自分を律することを得意としているキャラクターであることもちゃんと表現しつつこれをやってみせるのでやっぱりフローレンス・ピューはやばい!彼女がいるだけで映画が何倍もいいものになると言っても間違いないです。MCU、ほんと抜かりないな……。

 

MCUの考える「ブラックウィドウ」の変化

ブラックウィドウが『アイアンマン2』で初登場した際、ナターシャ・ロマノフとはセクシーでどこかミステリアスで……という日本で言えば峰不二子のようなキャラクターであったように思います。

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source: Scarlett Johansson Slams Sexualized Black Widow Portrayal in Iron Man 2 – The Hollywood Reporter

 その後も『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』ではウルトロンに連れさらわれてしまい、人質のような役をやらされたり、『キャプテン・アメリカ ウィンター・ソルジャー』では確かにスパイである彼女が適任なのはわかりますが、実際の戦闘シーンというよりも隠密活動が主だったりなど、セクシーで妖艶な役回り、もしくはヒーローだけどどこかやはり守られる対象のような役が多かったように思います。

しかし、近年のMe too運動の高まりや、フェミニズムへの理解が高まり、私達一人ひとりがこれまで「よし」としてきた発言などを「実はセクシズム的なものであったのかも」と振り返る機会が増え、MCUでもそのような配慮が段々とそして着実にされるようになりました。

そしてそれは今作も例外ではなく、ブラックウィドウというキャラクターに対してもセクシーな女スパイ、ではなく有能なスパイとして描くことをとても気をつけて制作されているように感じました。

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source: Marvel's 'Black Widow' Scores Impressive Box Office Debut - Variety

 今作でナターシャは性的魅力を用いて異性を騙して……というようなことはせず(まぁ逃亡している身なのであまり不用意に信用している相手以外には関わらないようにしていたということもあるんでしょうが)、ひたすらにめちゃくちゃに戦ってるんですよね。

演じているのがスカーレット・ジョハンソンなのでセクシーさを皆無にすることはさすがに無理なんですけど、これまでみたいに胸がはだけた戦闘スーツなどでもないですし、アクションシーンとかもこれまではセクシーさ重視!みたいだったのがマジで「ふたりはプリキュア」って感じだったんですよね*4

もうそれだけで、ああブラックウィドウをちゃんと描いてくれてありがとう……と感涙せざるをえないんですよね。もちろん私はナターシャが自分の美貌を含めて自分の持ちうるものをすべて使ってスパイとして働くのが好きなのですが、戦闘だってちゃんとできるんですよ、もちろんみたいなところを今作できっちり描いてくれたのがよかったな、と思ったわけです。

ていうかそんな女性とかそんなの置いといてもめちゃくちゃよかったです、今作のアクションシーン!特に冒頭のブダペストのシーンとかめっちゃ迫力があって、もうガッツリ観客の心を掴んだ~~!!!!って映画実況みたいな仕事あるならこんな実況するね、私は。ここは本当に映画館で観ないと勿体ないのでぜひ観てください……。

 

新キャラクターばっかりで観る気がしませんとか言ってごめんなさい

実はわたし『ブラックウィドウ』に対しては鑑賞前全然期待をしておらず、というのも個人的にMCUの『キャプテン・マーベル』、DCの『ワンダーウーマン 1984』が全く刺さらず、女性ヒーローもの映画に少し不安があったのです*5

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source: Black Widow (2021) - Transcript - Scraps from the loft

しかも今作では先程紹介したエレーナの他にも、というかブラックウィドウ以外はほとんどすべてのキャラクターがMCU初登場のキャラクターばかりで一見さんには優しいけれども、MCUを観てきた私からすると「今更こんなにたくさんのキャラクターを覚えなきゃいけないのか……!しかも一回しか出てこないかもしれないのに……!!」と思ったりもして、結構今作に関してはワクワクよりも不安……という気持ちが大きかったです。

でもホント、これ同じように懸念されてる方がいるんだったらもう全然……今作は本当にちゃんと面白いっていうかそんなことを勝手に心配していた私が悪かったです、ホントすみません……とアメリカ大陸に向かって土下座をする勢いなので安心してください。エレーナ同様、今作で新たに出てくるナターシャの「家族」、そして敵であるレッドルームも(もちろん原作にもあるキャラクターや設定なわけですが)非常によく練られていて、いや私は何を心配していたんだよって自分で自分を殴ってやりたくなるくらいでした。

てかナターシャの「家族」、個人的にこういう感じか?

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source: “私服も最高すぎる…” はるか&みちるら外部太陽系戦士の日常を公開!「セーラームーンEternal」 | アニメ!アニメ!

 と思ってたんですよ。まぁこんなキラキラはしてないとしてもなんか気高くてクールでちょっと現実味ない感じの家族なのかな~って。それが蓋を開けたらどっちかって言ったら

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source: ボボボーボ・ボーボボ | 東映アニメーション

 こんな感じだったからびっくりしちゃったよね。まぁこれは過言か……。まぁとにかく思ってたよりもコミカルな感じでびっくりでした。

 

俺たちのタスクマスターは……

今作、ナターシャが主人公ってことはやっぱりこう女性エンパワメント映画になってるわけですが、それがなんというか、女性はこう生きなきゃだめだ!って感じじゃなくて、ちゃんと背中を押してくれるような作品になっててよかったなと思いました。

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source: David Harbour on 'Black Widow' Red Guardian and If He'll Return to MCU - Variety

まぁこれは減点ポイントでもあるんですけど、女性が中心になって女性たちを救う話になっているのもいいなと。その代わりにレッド・ガーディアンの不要さがすごくてもったいなかった。あれはもったいない!もう少しなんかソーと対をなすくらいの強さとかあってもいいんじゃないのか……!原作読んでないからどんなキャラなのか知らないんですけど……

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source: Taskmaster explained: How Black Widow retconned character's origin | EW.com

あとはなんと言ってもちょっと手放しで評価するのはどうかなと思うのがタスクマスターのキャラ変……?!いや私さっきも言ったように原作はほぼ未読で、スパイダーマンとデップーの関わりのあるものしか読んでなかったりするんですが、アニメの『アルティメット・スパイダーマン』とかテレ東で一時期やってたあのスパイダーマンのアニメシリーズを結構見てまして。そこのタスクマスターさんがめちゃ好きだったんで今作のタスクマスターさんに関してはちょっと使い方もったいなくない……?!と思ったり。タスクマスターにする必要性がまだ今作では見えてこないのでそう思っただけならいいんですが。キャラクターとしてはすごく面白い設定になってて、今後も活躍を期待したいんですけど、原作のタスクマスターファンは結構辛かったのでは……。

 

まとめ

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source: Black Widow first reviews: Critics call Scarlett Johansson-starrer ‘grittier’, solid standalone Marvel film | Entertainment News,The Indian Express

 今回は『ブラック・ウィドウ』について話してきました。個人的には期待値を大幅に超えて大満足でした。IMAXでもう一度観に行きたいな……。

巷では「MCUにしては地味」みたいな意見もあるみたいなんですが、いやサノスとか出してしまったらそりゃしばらくどの映画も地味に見えてしまうんでは?と思わなくもないです。

にしてもMCUは2021年超忙しいですよね、『ワンダ・ヴィジョン』から始まって『ファルコン・アンド・ウィンター・ソルジャー』(超良かった)、『ロキ』そしてこの後は『シャンチー』(オークワフィナが超楽しみです)、『ホークアイ』『ミズ・マーベル』『エターナルズ』(マブリが世界にバレちゃう)、そして『スパイダーマン』……。いやもうコンテンツの波に圧倒されて死ぬ……!しかもMCUじゃないですけど、今度ボバ・フェットの単独ドラマも年末に来るんですよね?いや本当に追いきれない……。嬉しい悲鳴です。

2020年がすっからかんだったので、その分2021年はこのコンテンツの圧倒的な波を楽しもうと思います!

*1:と入っても今作も劇場公開とディズニー+での配信の2つの形を取ったので、日本では大手シネコンがこれに抗議する形で今作を上映する劇場を極端にへらすなどの動きが出ているらしいです。

渋谷、新宿、池袋というターミナル駅の上映館が一つずつしか出てこないし、やや規模の小さい映画館だけだ。例えば新宿にはTOHOシネマズ、ピカデリー、バルト9の国内映画配給会社系列の大手シネコンの映画館があるのにそれらがまったく出てこないのだ。

出典元:「ブラック・ウィドウ」を上映しない大手シネコンの2つの誤り(境治) - 個人 - Yahoo!ニュース

*2:ケビン・ファイギ…MCUの最高責任者であり、プロデューサー。Twitterでは『エンドゲーム』の公開を記念したキャラクターたちの絵文字が出ましたが、ケビン・ファイギのものもありました。

https://www.laughingplace.com/w/blogs/disney-buzz/2019/04/16/new-avengers-endgame-kevin-feige-twitter-emojis-debut/

*3:『ミッドサマー』…『へレディタリー/継承』などで知られるアリ・アスター監督が描く明るいホラー。明るいと言っても怖くないわけではなく、明るい場所で起きる凄まじい恐怖体験を描く話なのでホラーが苦手な人は観るのをおすすめしません。面白い映画ではあります。

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『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』…『レディ・バード』で監督デビューした女優グレタ・ガーウィグが送る監督2作目。長年世界中で愛される名作を現代ならではの視点から映像化した作品。今作のフローレンス・ピューがすごすぎて、あまりにも忘れられず、ここから一気にファンになってしまいました。

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*4:ふたりはプリキュア」…全く知らない人からするとプリキュア魔法少女モノであり、アクション性などが皆無な作品に思えるかもしれませんが、プリキュアのもともとのコンセプトは「女の子だって暴れたい」であり、めちゃくちゃに肉体格闘的なヒーローです。

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*5:キャプテン・マーベル』…MCUにおいて初の女性ヒーロー単独映画。ライバルであるDCの『ワンダーウーマン』に遅れを取る形での制作・公開となりました。主演は『ルーム』などで知られるブリー・ラーソン。ちなみに先日久々に見返したらめちゃくちゃ面白くて劇場公開時にあんまり刺さらなかったのは直接『インフィニティ・ウォー』『エンドゲーム』に即関わるような話じゃなかったからなのか、それともジュード・ロウがめちゃ雑魚として描かれたのが悲しかったのか……。自分でも謎です。『キャプテン・マーベル』はフェミニズム的な描かれ方よりも「自分とはなにか」を探しそして見つけるというテーマをとても丁寧に描いた作品でした。

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ワンダーウーマン 1984』…MARVELのライバル会社であるDCのコミックスを原作とした映画『ワンダーウーマン』の続編。主演は『ワイルド・スピード』シリーズなどでも知られるガル・ガドット。対する敵は完全にドナルド・トランプを意識したであろうキャラクターを演じる、今や『マンダロリアン』でもおなじみのペドロ・パスカル。今作のあるキャラクターの処遇を巡っては結構賛否両論でした。私は割と否派です。

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