きねまないと

最近映画が好きになった20代が素人目線で好き勝手に映画の感想を綴るブログ。

Googleの検索サジェストに「『AI崩壊』 ひどい」とか入れたやつ誰だよ

 

本日の映画

今回は『AI崩壊』の感想を述べていきます。先に言っておきますが、ひどくないです。

ひどいとか言ってる人はまだ邦画の底を観てないだけです。邦画の底を観たい人はこの作品でも観てください。

source: 映画『AI崩壊』|ブルーレイ&DVDリリース

 

あらすじ

愛する妻・のぞみの難病を治すため桐生はAIを開発するも、国からの認可が下りず、のぞみは亡くなってしまう。のぞみの死後、ようやく桐生のAI「のぞみ」が認可され、医療のみならず、銀行や一般企業など様々な場所で「のぞみ」が使用されるようになった。

桐生は日本を離れ、シンガポールで娘と二人暮らしを行っていたが、娘が桐生の作った「のぞみ」が広く使用される日本の社会を見てみたいと言ったため、渋々日本を訪れることにする。

桐生が日本を離れたあと、「のぞみ」の管理を行なっていた義理の弟・西村の経営する会社を娘と共に訪れる。しかし、そこには反AI運動をする人々で溢れていた。なんとか会社の中へ入り、予定されていた「のぞみ」開発者としてのスピーチを行った。

しかし、桐生が会場を後にした直後、「のぞみ」の暴走が始まり、医療機関を始め日本社会全体が混乱の渦に巻き込まれる。警察の調査の末、「のぞみ」の暴走の容疑者として名前が上がったのはまさかの桐生だった……。

桐生は身に覚えのない罪で追われることになり、逃亡を行いながら「のぞみ」の暴走を止めようとするが……。

詳しくはこちらをご覧ください。


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入江悠監督の最新作、見ない手はない!

source: AI崩壊 : 作品情報 - 映画.com

私の好きな入江悠監督の最新作!というわけでこれは観ない手はない!

入江悠監督といえば『太陽』『22年目の告白 -私が殺人犯です-』『ジョーカーゲームなどで知られる監督ですね。私は今上げた作品どれも好きですが、やっぱり『太陽』が一番好きかもしれないです。

slhukss1.hatenablog.com

私が個人的に入江悠監督を大尊敬する理由は、入江悠監督の映画は画がダサくないどころかめっちゃかっこいいんですよね!映画ってやっぱり画がめっちゃくっちゃかっこいいとか美しいとかそういうことがまず大前提として必要であり、そこが一番大事な部分だと思うんですが、入江悠監督はそれがめちゃくちゃ上手いんですよね。ダサいシーンが1個もない!

今作『AI崩壊』ももちろんダサいシーンはないです。全部のシーンがしっかりかっこいい!さすが俺たちの入江悠監督!今作で個人的にめっちゃよかったのは「のぞみ」のサーバールームですかね。

source: VFXアナトミー 広大なセットエクステンションやモニターグラフィックスなど、多種多様なVFXがつくる実在感のある近未来、映画『AI崩壊』

SF感がしっかりあって、ありえないのにちょっとありえそうで、そんでめちゃくちゃかっこいい〜!!!という。このセットを用意してくれる、そして用意できる入江悠監督すごい!大好き!!!後この通常時は薄い青色が基調とされているのが観客に説明的にではなく「『のぞみ』は人類のために作られた優秀で害のないAIなんだよ〜」というのが示されているのも好き。ここから非常時には赤色が基調になって「あれ?このAIもしかして危険かも……」と持っていくのもうまくて良いですね。わざとらしくないくらいの青色と赤色なのがそれぞれ良かったです。

 

キャスティングも豪華ですごい!

source: 【映画版MV】『AI崩壊』|2020年1月31日(金)公開 | CINEMAS+

あとやっぱり「この新人さん誰?!すごく素敵!」っていうのももちろん大好きなんですが、「え!出てくる人出てくる人みんな知ってるんだけど……!」というオールスター映画も大好きです。

今作は圧倒的に後者で、本当に出てくる人出てくる人みんな豪華で途中から爆笑していました。実を言うと誰が出ているかは全然しらない状態で観始めたので主演の大沢たかおさんの時点で「え、大沢たかお?!」ってなってビビりましたし、警察の捜査官役で出てきた岩田剛典さんとかも「し、知ってる……!!!!」となり、その後所轄の警察官役として三浦友和さんと広瀬アリスさんが出てきた時は「もう知ってる人しか出てこねえ!!!!!!!!」とひっくり返っていたんですが、「待ってよくみたら桜庭(岩田剛典さんの役)の部下の役、どう考えても芦名星さんじゃね……???」となり、マジのオールスター映画で震えました。マジで監督の名前と映画のタイトルだけしか知らないで映画観るとこういうサプライズを経験できるんだ……と新しい映画の楽しみ方を知りました。今後もやってみたい。

しかし今作何と言っても大沢たかおさん、いい!確かに演技くさいなみたいな演技だと思う人もいると思うんですが、個人的には説得力のある演技でセリフの一つ一つにいい意味で重みがあって良かったです。あとめちゃくちゃSFでありえないような設定なのに大沢たかおさんが本当に焦ったり怒ったり焦ったりを本気でやってくれるのでこっちも手に汗握る……!のが最初から最後まで続いて楽しかったです。ありがとう、大沢たかおさん。

あとは三浦友和さんの所轄のベテラン刑事の役がとてもフィクションくさいのですが、勘と気迫だけで刑事やれてる人みたいなの、現実にいたらこんな感じなのかな……と思わせてくれるような役で良かったですね。嘘くさい役なのにウサ臭さをちゃんと三浦友和さんが取っ払ってくれているというか。

桜庭役に岩田剛典さんとか、桐生の義理の弟(妻・のぞみの弟)役に賀来賢人さんとかもめちゃくちゃ「それしかない……!」と言いたくなるほど納得のキャスティングで良かったです。

 

脚本は正直ちょっと厳しい

source: https://www.crank-in.net/news/73136/1

しかしこんなに褒めちぎってきましたけど、100点満点かと言われますと正直な話それはない!と即答できます。と、言いますのも今回の話面白いんですけど、一番大元になる設定である「AI『のぞみ』が社会の至るところで使われている」というのがかなり無理があるからなんですよね。

今作の劇中で「のぞみ」が暴走すると何もかもが動かなくなってしまうわけなんですが、たとえ今の世の中でインターネットが日本で全く使えなくなってもあれほどのことは起きないと思ってて、それこそ『サバイバルファミリー』の世界みたいに電気が一切使えないくらいの大混乱が起きてますよね……。それはさすがにありえなくない?っていう。あとそれが可能になるなら保守はかなり完璧じゃないといけないのに、桐生以外の人はずっと「わーどうしようどうしよう」って言ってるだけっていうのはもう給料泥棒じゃん。今まで何やってたの???って感じですよね。

それから「主電源を切るしかない!」「いや、そんなことをしたら今以上の混乱が」みたいなシーンがあり、あとサブサーバー?みたいなのに切り替えをしようと思ったら「『のぞみ』に拒絶されててできません」って言ってましたけど、そんなことができるようなシステムを国全体で使ってはダメだよ、と普通に思ってしまいましたね……。メインサーバーがやられてもすぐに復旧ができるシステムじゃないと採用してはいけないんですよ……。あのもう神話レベルに語られてて、耳にタコができてる人も多いと思うんですが、かつてのSuicaのシステムの話とか読むとよく考えて作られてんな〜ってわかりますし、それを読むと今回の話はあまりにもありえなすぎてあんまり頭に入ってこないんですよね。

tatase.hatenadiary.jp

*現在はシステムが変わったから上記のシステムとは違うはずです。詳しくはJR東日本の出しているPDFをどうぞ。

Suicaでさえ(でさえってことはないですが)こんな考えられて作られてるのに、国家の中枢を担うAIがそんな簡単に崩壊してどうする!と思ってしまうんですよね。

あとここからは若干ネタバレですが。。。。

そんなスマホの画面かざしたぐらいでウイルスに感染しないでくれ……。あとちゃんとチェックしてくれ、その検査内容とかを……。そんな何もチェックしないでダウンロードしないでくれ、パソコン触りたての小学生じゃないんだからよ……。と思ってしまいます。

やっぱりAIを題材にしてるので、インターネットリテラシーとかITの教養?みたいなのを持ち合わせてしまってる人間から見るとありえないだろ〜ってところが多くて簡単に飲み込めないんですよね。IT企業で働く人、特にインフラ系のサービスで働く人なんかは今作結構辛いんじゃないかなと思います。

ただ、「まぁフィクションだし、そういうものとして割り切るか……」とか「AIとかじゃなくてよくわからん国家の枢軸だと思おう」と思って観ると割と楽しめるかなとは思います。

と言ってもやっぱり警察が結構バンバン銃を撃ったりとかしてそんなバカなことがあるかと思ったり(人殺しとか盗みの現行犯とかじゃないし、容疑者扱いのはずなので射殺許可が降りるとはあまり考えづらいかなと)もして、ツッコミどころはAIじゃないところにもあるんですが、まぁそれは映画的に盛り上がらせるために必要なのか……?と少しメタ的に考えてしまいました。

ま、そんなこと言ったら『ジョン・ウィック』とか『ミッション・インポッシブル』とかもありえないの連続なのでツッコミどころがない映画を作るな!とは言わないのですが、もう少しツッコむ隙がない脚本になってたらかなり好きだったかもな……、と思います。

 

まとめ

source: 映画『AI 崩壊』大沢たかお主演 - 暴走するAI、ターゲットになったのは開発した本人 - ファッションプレス

今回は『AI崩壊』についてお話ししました。最近はハリウッドの大作映画(『バービー』、『オッペンハイマー』、『ミッション・インポッシブル』などなど)ばかり観ていたので、久々の邦画でした。邦画もやっぱり好きなのでもう少し意識的に観るようにしたいなと思っています。

あと上で言い忘れたんですが、玉城ティナさんの役だけはどうしても「これ、要るかな……」と思ってしまいましたね、というかまぁ芦名星さんの役とかも要らないよな……って感じなんですが。でも総理大臣が女性だったりして(これは個人的にかなり嬉しかったです)、未来の日本を描いた作品だから女性と男性のバランスを考えられているから男性ばっかりにならないように配慮されているのかなと感じました。でもそれなら誰か主要人物一人くらい女性でも良かったんじゃないのか……!桜庭の役とか。。。『踊る大捜査線2』とかでも真矢みきさん演じる沖田さんが女性管理官が出てきてるくらいなんだから、桜庭の役とかは女性でも良かったんじゃないのか。。。要るだけが仕事じゃない女性の役がもっといたら、またちょっと評価が変わってたかもしれないですね。

……と思ってしまうのは、私が『バービー』を気に入りすぎているからなのか……?ていうか『バービー』観てから一生ケンの話してるんですけど、どうしたらいいですか?もう毎日がKenoughすぎてお腹いっぱいです、友達の家に行っても「I'm Just Ken」ばっか聴いてる……。何これ……。

 


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